日本仮設のクラウド型環境観測システムが中国のプロジェクトで採用に

2017年01月24日 19時13分

 日本仮設(本社・札幌)が開発したクラウド型環境観測システム「ecoMosystems(エコモシステム)」中国版が、中国・雲南省が進める高速道路建設に伴う環境影響調査プロジェクトで受注に成功した。大気や水質の測定データをネットワークを通じて遠隔から一元管理するシステム。構築を終え、ことしから運用を始める。同社はこの実績を弾みに環境モニタリング商品のアジアや欧州での展開に力を入れる。

 雲南省は現在、武定県から易門県城南部の経済圏を結ぶ全長104㌔の武易高速道路の整備を進めている。上下6車線、幅33・5m。建設予算は約140億元(約2300億円)に上る。

 自然の多い山間部を通過する同道路。周辺の生活人口も多いことから、同省は環境に配慮した整備方針を掲げている。これを実現するのが、今回のプロジェクトだ。

 建設から道路運営に至る周辺環境への影響を遠隔操作でリアルタイムに計測・評価する仕組みを開発し、そこで得た情報を建設時の施工管理や道路建設・運営時の評価などに役立てる。

 推進役は同省科学技術庁と交通庁だが、研究開発は国際的な枠組みの産学官が担い、中国北京地質研究所や重慶交通大、武易高速公路建設指揮部、日本仮設など7者が参加する。

 日本仮設の役割は環境モニタリングシステムの研究開発と導入。昨年、高速道路建設会社の武易高速公路建設指揮部と250万元(約4100万円)で契約を締結した。

 国内の多機能型環境計測システムを発展させた中国版の導入と計測機器の設置、モバイル通信を利用したネットワーク構築を終えている。

 大気はPM2・5などの粒子状物質やCO2、気温、湿度、風向風速、雨量を3カ所、水質は濁度とpHを2カ所で計測する体制を整えた。観測地点を変更しての計測に対応するため、大気計測機器を搭載した自走車両も開発し、納入済みだ。

 契約は8月までで、今後は省の評価を経て、運用を開始。現地の技術者が円滑に利用できるようトレーニングを進める。

 土木建築の資機材総合商社として50年の歴史を持つ同社は近年、環境やICT分野に事業領域を広げ、2008年には環境分野で中国に進出した。

 現在、北京とスペインのサラゴサに子会社を置き、汚濁水処理システム、橋梁や法面の変位計測システムの販売など環境・インフラ計測分野で実績を積み、今回のプロジェクト参画に結び付けた。

 海外事業の責任者を務める日向洋一新事業推進部開発センター長は「海外事業の弾みになる。今後も本道発の技術をアジアや欧州に提供しながら、各国のニーズと融合を図り世界で役立つものとして発展、普及させたい」と意気込みを見せている。


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