国土交通省と農林水産省は10日、3月1日以降契約の直轄工事に適用する2017年度公共工事設計労務単価を発表した。道内の伸び率(単純平均)は、全職種で前年度比6.5%、普通作業員など主要12職種で5.1%それぞれ上昇した。前年度を上回るのは6年連続。全職種の伸び率は全国平均より3.1ポイント、東日本大震災で被災した東北3県より3.2ポイントそれぞれ高い。国の単価を用いている道は、建管工事で3月10日開札分から適用する予定だ。
予定価格の積算に使用する公共工事設計労務単価は、技能労働者の所定労働時間8時間当たりの基本給相当額、基準内手当、所定労働日数1日当たりの臨時給与、実物給与で構成している。
例年4月に適用していたが、公共事業労務費調査で把握した最新の実勢価格を迅速に反映する目的で14年2月から前倒していて、今回で4年連続の前倒しとなる。技能労働者の社会保険加入を徹底するため、13年4月の改定から実施している法定福利費相当額(本人負担分)の加算も継続した。
道内は、両省が所管する直轄・補助事業から無作為抽出した工事1026件で1万498人から有効標本を確保し、集計結果を基に労務単価を決定した。最も伸び率が高かったのはトンネル特殊工の11.5%で、唯一2桁の伸び率を示した。
主要12職種の伸び率は、特殊作業員が3.9%、普通作業員が3.4%、軽作業員が3.2%、とび工が6.1%、鉄筋工が6.5%、運転手(特殊)が3.4%、運転手(一般)が3.3%、型枠工が6.2%、大工が6.3%、左官が6.3%、交通誘導警備員Aが7%、交通誘導警備員Bが6.1%。交通誘導警備員Bの単価は1万円を突破した。
全国は、全職種の単純平均が3.4%増。単価の上昇が始まった12年度に比べ39.3%増加するとともに、労務単価公表後のピークである1997年度から見て94.5%の水準に回復したことになる。16年2月の改定に続き、都市部よりも地方の伸び率が高い傾向が出ている。
東日本大震災で被災した東北3県は3.3%増となり、3県を対象とする単価のかさ上げ措置を適用してから初めて伸び率が全国平均を下回った。入札不調・不落の発生状況に応じて単価をかさ上げするため、不調・不落の発生率が低下したことに伴い、伸び率が低下したとみられる。
両省は、16年度の改定時と同様に、旧単価で入札した工事に新単価を反映させる特例措置を講じるほか、契約済みの工事にはインフレスライド条項を適用する。
国交省は、都道府県・政令市に8日付で通知していて、改定した労務単価を適用するよう促す。建設業団体には、単価引き上げを技能労働者の賃金に反映するよう要請する。