幼い子どもと静かなひとときを過ごすのに、絵本ほど役に立つ小道具はない。筆者も昔はよくお話を読んであげながら、子どもたちと一緒に絵を楽しんでいたものだ
▼今でも覚えている絵本の一つに、わたなべしげおさんが文、おおともやすおさんが絵を担当した『どうすればいいのかな?』(福音館書店)がある。子グマがお出掛けをするため一人で着替えをしているのだが、シャツを履いたりパンツをかぶったり。小グマがとぼけた顔で黄色いパンツをかぶっている絵などを見ると、子どもは大はしゃぎである。「違う違う」と教えてあげたりして。試行錯誤を繰り返した末、服の着方をしっかり学んだ子グマは元気よく出掛けてゆく。なかなかに賢い
▼見たところ絵本に登場する子グマは、3、4歳の子どもをモデルにしている。最新の研究で本道に生息するヒグマの知能も、犬と霊長類の間と推測されているそうだ。だいたい同じくらいということである。好奇心旺盛で学習能力が高く、記憶力も悪くない。幌加内町の朱鞠内湖で14日、釣りをしていた男性の行方が分からなくなった。ヒグマに襲われた可能性が高い。大半のヒグマは人の気配を察すれば逃げるが、最近はエサとして狙ってか興味を持ってか、自分から人に近付いてくる個体も増えていると聞く。人を怖がるといった過去の常識が通用しなくなっているのだ
▼ヒグマの生活様式は人間社会を反映して変わる。彼らも日々学び続けているのだろう。ことしも全道各地で目撃例が相次いでいる。お出掛けがかち合わないよう人も学ばなければ。