コラム「透視図」

Go To トラベル

2020年07月16日 09時00分

 公共事業悪玉論、建設業悪者論が世間に大きく広まった時期が過去日本にあった。1990年代のことである。「ゼネコン汚職」への国民の怒りが高まり、財政危機も叫ばれ出したころと重なる。バブル崩壊で社会も混乱していた

 ▼その後何が起きたかはご存じの通り。公共事業費は坂を転げ落ちるように減り、建設業者は問答無用で淘汰(とうた)の荒波に投げ込まれた。理不尽と思われることも多かったのである。本当の不幸はここからだった。予算がないため各種施設の維持補修が遅れインフラは劣化。計画的に進めるべき災害対策も後手に回った。本来なら防げた事故や災害もあったはずである。さらに雇用の受け皿が消えたため失業者も増えた。結果、日本経済は一層縮んだのである

 ▼裾野の広い産業を痛めつけると、そうなるということだろう。事情は全く異なるが、今は観光産業が危地に立たされている。コロナ禍で苦しむ姿を見ていると人ごととは思えない。もう何カ月もほぼ収入ゼロの日が続く。起死回生の切り札に政府は旅行代金の半分を支援する「Go To トラベル」キャンペーンの前倒し実施を打ち出したが、批判の集中砲火を浴びている。〝早過ぎる〟が一番の理由らしい

 ▼ただ新規感染者が多い東京都も重症は7人のみ。全国の死亡者はこのところほとんど増えていない。一方で観光はひん死の状態にある。かつて建設業者にしたように「座して死を待て」と無言の圧力をかけるのはあまりに酷だし筋も通るまい。産業をつぶしては元も子もないのだ。そろそろと動き出したい。


流れ星

2020年07月15日 09時00分

 夏の夜空を彩るペルセウス座流星群がそろそろ活動期に入る。今週金曜日の17日から来月24日頃までが観測に適した期間らしい。明るさや数が増し最も見やすくなるのは8月12日の午後10時。夕涼みも兼ねて、子や孫と一緒に夜空を見上げてみるのも一興である

 ▼多田智満子さんの詩「星の戯れ」の一節を思い出す。「一瞬間たのしむために 一時間首を痛くする 流れ星は気まぐれだ 人は待つことに慣らされる」。流れ星は静かに飛びながら一瞬の輝きを放つ。控えめで目立たないがゆえに、観測者は忍耐を強いられるのである。ところがまれに派手な登場の仕方で人々の度肝を抜くものもある。2日未明に関東地方で多くの人が目撃した火球がそれだ。衝撃波のごう音が響いたため、皆何事かと夜空を見上げたという

 ▼程なく正体は隕石と判明。あれだけ大きな火球だと破片が残っている可能性もあると指摘されていたが、本当に見つかったそうだ。千葉県習志野市のマンション敷地内に転がっていたという。住民が火球出現の当日、外で何かが落ちたような音を聞き、探してみたのだとか。どこまでも存在感を主張してくる流れ星である。破片は二つでそれぞれ直径5cm程度。重さは63㌘と70㌘だったそうだ。「習志野隕石」と命名されるらしい

 ▼さてこうなると、心配する人がいるかもしれない。「あれだけたくさんの星が流れているペルセウス座流星群がもし落ちてきたら…」。流星群は小さな星くずの集まり。大気圏で全て燃え尽きてしまう。首が痛くなるまで眺めていても落ちてくることはない。


病院の経営危機

2020年07月14日 09時00分

 昭和演歌には「男に尽くした揚げ句、捨てられた女」の切なさや悲しみを歌い上げるものが多かった。現代の若者が耳にすれば、眉をひそめるに違いない

 ▼細川たかしさんが歌って大ヒットした『心のこり』(なかにし礼作詞、中村泰士作曲)もその例に漏れない。歌い出しはこんなだった。「私バカよね おバカさんよね うしろ指 うしろ指 さされても あなた一人に命をかけて 耐えてきたのよ 今日まで」。新型コロナウイルス感染者に率先して対応した結果、赤字に陥り倒産の瀬戸際にまで追い詰められる病院が増えていると聞き、かの歌を思い出した。患者を救おうと文字通り命をかけて尽くした医療関係者が、風評で後ろ指をさされた上に、打ち捨てられようとしているのである。理不尽という以外ない

 ▼病棟を新型コロナ専用にすると診療報酬は上乗せされるものの、一般患者の受け入れは減らさざるを得ず、その分の収入が削られる。さらに感染対策や人員には通常を超える経費がかかるのだ。日本病院会などが先月公表した経営状況調査によると、4月時点でコロナ患者を受け入れている病院の実に9割が赤字だったという。しかも月を追うごとに悪化している。今夏のボーナスを減額する病院も少なくないそうだ

 ▼東京では新規感染者が連日100人を超え、病院に再び専用病棟やICUの確保を求めている。すずめの涙ほどの経費補助にとどまるなら身勝手な話だ。医療関係者だってバカではない。耐えるにしても限度があろう。政府は尽くしてくれる方々にどこまで甘えるつもりか。


本物にだまされた?

2020年07月10日 09時00分

 預貯金詐欺のような新手も増えているが、特殊詐欺の中ではいまだに「オレオレ詐欺」の認知件数が一番多い。子を思う親の心を巧妙に利用するからだろう。子が不祥事を起こし急にお金が必要と聞けば、何とかしたいと思うのが親心である

 ▼典型的な手口はこうだ。息子を名乗る人物から「会社の金を使い込んでしまった」「車で人をはね、示談金がいる」と電話が来る。泣きながら話しているせいか声がおかしい。交通事故の場合は途中で警官に代わり状況を説明。「逮捕して取り調べている」と不安感をあおる。さらに弁護士が登場し「示談金をすぐ用意できれば収監は免れます」とたたみかけるのだ。社会的信用の高い警官や弁護士の名をかたるところがミソである

 ▼ところがこちらは、本物の弁護士が依頼者を裏切っていたというのだから目も当てられない。過日破産した弁護士法人「東京ミネルヴァ法律事務所」が金融業者から回収した過払い金約30億円を依頼者に返さず、流用した疑いがあるそうだ。メディアで名を聞かない日はないくらい派手にCMを打ち、依頼者をかき集めていた事務所である。消費者金融などへの過払い金返還請求を業務の柱にしていた。どうやらその返還された過払い金を広告費やコンサル料に充てていたらしい

 ▼現在、第一東京弁護士会が調べているが、流用された預かり金は依頼者数千人分にも上るのだとか。30億円といえば昨年の特殊詐欺被害額316億円のほぼ1割である。いわば本物にだまされたようなもの。信じて任せていた依頼者の落胆はさぞ大きかろう。


大雨続く

2020年07月09日 09時00分

 人気絵本「ばばばあちゃん」(福音館書店)シリーズをご存じだろうか。持ち前の行動力と知恵で毎日を楽しく過ごす老婦人を描いた子どもたちの大好きなお話である。その数ある作品の一つに「あめふり」があった

 ▼こんな話である。バケツの水をぶちまけたような雨が降り続き、庭が海になってしまう。怒ったばあちゃんはストーブと暖炉にまきをどんどんくべ、最後にこしょうとトウガラシの束を放り込むのだ。それは煙に乗って空まで運ばれ、雲の上で雨を降らせていたかみなりたちに届く。皆くしゃみは出るわ目は痛いわで大騒ぎ。そんなこんなで雲はちぎれ、かみなりたちは地上の泥水に転落。空にすっきりとした青空が広がるのである

 ▼こんなばあちゃんが今いてくれたらどんなに助かることか。ここしばらく日本でも九州をはじめ広い範囲で強い雨が降り続き、深刻な被害が相次いでいる。西日本から東日本にかけて梅雨前線が停滞しているため、かみなりたちが好き放題に暴れ回っているらしい。熊本県南部に4日未明発生した線状降水帯はその後も場所を変え時を変え、連日、日本のどこかを襲っている。九州では熊本を中心に50人以上が死亡し、少なくとも13人が行方不明のままだ。きのうは長野と岐阜の両県にも大雨特別警報が出た

 ▼前線の活発化はしばらく続く。当面は日本のほぼ全域で土砂災害や河川の氾濫に厳重な警戒が必要だ。間違っても常人ならぬばばばあちゃんを見習って、逃げずに立ち向かおうなどと考えてはいけない。少しでも危険を感じたら安全な場所に避難しよう。


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