若い人たちの間ではしばしば、年配の者には分からない言葉が流行する。最近は「蛙化現象」というものが主に若い女性の間で、はやっているそうだ。ネットなどでその言葉を目にする機会が増え、何のことかと疑問に思っていた
▼ひそかにずっと好意を抱いていた男性が実は自分に好意を持っていたと気づいた途端、急に気持ち悪く感じてしまう現象という。グリム童話の「かえるの王さま」からきているのだとか。実際にはもっと幅広く、その男性の嫌な面を目にして「無理」となる場合にも使われる。俗説の域を出ないものの、人でなく恋に恋をしているときに起こりやすいと聞く。ところでこの蛙化現象、どうやら若い女性の専売特許ではなかったらしい
▼世論にも発生していた。少し前までかなり高かった岸田内閣の支持率が急落しているのである。嫌な所が目についてしまったのでないか。読売新聞の6月世論調査で前月比15ポイント減の41%となったのをはじめ、NHKや共同通信など軒並み下落している。誤って他人の情報とひも付けられているなど問題が次々明らかになったマイナンバーカードや、野心的な政策を掲げる一方で財源はあいまいにする姿勢が蛙化現象を招いているようだ
▼G7広島サミットでは前に出て堂々発言していたのに、近頃は裏でもごもご言うだけ。幻滅というわけである。蛙化の逆は「蛇化現象」といい、無条件にその人を信じ肯定することだそう。そんな熱烈な支持者もいるが、多くの人は首相の言動を冷静に見ている。一時の高い支持率を国民の蛇化と思ったなら甘い。