皆さんはどんなクレジットカードをお持ちだろう。最高ランクとされる「ブラック」の人はさすがにほとんどいなかろうが、「ゴールド」や「プラチナ」を普段使いにしている人は多いのでないか
▼色の違いは何かといえば、分かりやすいのは利用限度額である。一例だが一般が50万円までなのに対し、ゴールドは150万円、プラチナは300万円といった具合。ブラックともなると、一律の上限設定はないという。ただし誰もが上位カードを手にできるものでもない。条件を満たさねば発行は断られる。裏付けとなるのは支払い能力。つまりクレジットを意味する信用である。たくさん借りられる人は、それだけ信用も大きいというわけだ
▼毎年この報に触れるたびそのことを思い出す。財務省は10日、2019年12月末時点で「国の借金が1110兆7807億円となり過去最大を更新」と発表した。これも視点を変えれば、日本は1110兆円を超える借金ができるくらい信用されているということである。他の国でこれだけ借金があれば財政破綻、またはひどいインフレに陥っていよう。そうならないのは国に相応の資産があるからだ。ところが財務省はいつも資産の方は伏せて、借金のみを発表するのである
▼同じ10日、国際通貨基金(IMF)が日本に「財政悪化が深刻になるため30年までに消費税を15%に引き上げ」るよう提言した。IMFは財務省の出先ともいわれる。絶妙な連携プレーでないか。税収を上げて省益を拡大することには熱心だが、信用を創造することには関心がないとみえる。