コラム「透視図」

JR北海道

2016年06月01日 09時00分

 ▼国にはそこならではの文化や習慣があるため、他の国から見ると随分滑稽に思えてしまうことも少なくない。『世界の日本人ジョーク集』(中公新書)で読んだのだが、インドにこんなジョークがあるという。列車の遅れが常態のインドではそれに目くじらを立てる人などいない。ところがある日、列車が定時に発車し多くの人が乗り遅れた。怒って抗議する人に駅員は答える。「今のはきのうの列車です」

 ▼きょうの列車が来るのはまだ先だからご安心を、というわけ。これで乗客が喜んだかどうかは分からないが、ダイヤ厳守の日本では考えられない。そんな日本での今回の事態である。乗客が腹を立てるのも当然だ。JR北海道指令センターのシステム不具合で、千歳線と室蘭線の運行が5月30日まで3日間連続して混乱した件である。合計で140本が運休、3万人以上に影響が出たという。仕事や通学、観光など全てに利用される幹線だけに迷惑を被った人は多方面にわたったろう。

 ▼28日に信号やポイントを制御する装置が水に漬かり、異常が起きたそうだ。北海道新幹線という華々しい話題はあったものの、このところJR北海道からは、事故やトラブルばかりが聞こえてくる。足が故障続きでは北海道も元気には走れない。一体どうしたことかと道民も気をもんでいよう。先のジョーク集には旧東ドイツの運行状況を示すこんな場面も記されていた。列車が2時間遅れで到着すると、「駅構内は大きな拍手に包まれた」。JR北海道も拍手が必要になるだろうか。


司法取引

2016年05月31日 08時59分

 ▼米国の犯罪映画には必ずこんな場面がある。被告人「俺が一人でやった。誰の指図も受けてない」。検察官「黒幕はもう分かっている。ただ証拠がない。証言してくれれば君は早く刑務所から出てこられるし、その後の身の安全も保障する」。被告人は同席する弁護士の助言も得て「それなら…」。お決まりの展開である。初めて見たときは、米国では不正な取り調べが横行していると義憤を感じたものだ。

 ▼司法取引というのが裁判での正式な制度だと知ってからも、違和感は消えない。同じ思いを抱いている人は案外多いのでないか。犯罪事実よりも駆け引きが重視されるのかと。ところがその司法取引が2年以内に、日本でも始まることになりそうだ。衆院本会議で先週、刑事司法改革関連法が成立し、取り調べの録音・録画の義務化とともに、法制化されたのである。取り調べを可視化すると、人間関係を基にした供述が得にくくなるため、捜査の新たな武器として導入されたらしい。

 ▼つまり可視化により「かつ丼でも食うか。故郷の母親も泣いてるぞ」式のなだめすかしがやりにくくなるため、「刑を減免するから」といった取り引き条件を捜査過程で提示できるようにするわけである。まさか安易な取り引きに頼るばかりで、丁寧な捜査をなおざりにすることはないと思うが、犯罪も捜査も人間のすること。刑罰が軽減されるとなれば犯罪者は正直にもなればうそもつく。映画ならまだしも現実で義憤を感じさせる判例が生じないか。法の執行者は心すべきだろう。


サミット株価

2016年05月28日 09時20分

 ▼いまや世界に知られるウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)だが設立間もない1889年当時は薄っぺらで、大して読むところもなかったらしい。同紙を育てた人々を描いた『ウォールストリートジャーナル』(講談社)で知った。読者は「その日のできごとを編集なしで逐一だらだらと書いた記事につきあう」しかなかったようだ。情報に飢えた人にとってはそんな新聞でも貴重だったのだろう。

 ▼米国はゴールドラッシュ景気に沸き、投機が活発化していたのだ。そこに目を付けたのがWSJ創業者の一人チャールズ・ダウで、今につながる「ダウ平均株価」を発表して新聞を躍進させたのである。どこの世界にも目先の利く人物はいるということだろう。そのダウ平均ができてからこの5月で120年になるそうだ。構成銘柄は時代に合わせ入れ替わっているものの、一貫して経済の実勢を示す指標であり続けてきた。日本で同様のものを探せば日経平均株価ということになる。

 ▼伊勢志摩サミットが財政出動と金融政策、構造改革の国際版「3本の矢」を進める首脳宣言を採択して閉幕した。株式市場も一定の評価をしたようだ。日経平均はきのう終値で前日より62円高い1万6834円を付けた。3日続伸である。安倍首相は今頃ホッとしているだろう。経済中心の会議後に株価下落では面目丸つぶれだ。首相は早速、財政出動に意欲を見せているというから、ゴールドラッシュとはいかなくとも、ダウに倣って経済躍進の糸口くらいは見つけられないものか。


火星最接近

2016年05月27日 09時11分

 ▼日本書紀に、舒明天皇在位のころ彗星が現れ、以来、大洪水や宮殿火災、飢饉(ききん)といった異変が次々起こったと記されている。今は異変と彗星を結びつけようものなら一笑に付されるだけだが、当時は因果関係が信じられていたのだろう。1週間ほど前のこと。夜にふと空を見上げると、月の下で、普段は見掛けない大きな赤い星がひときわ強く輝いていた。一瞬、頭に浮かんだのは「何か凶事が」

 ▼そんなばかなとすぐに打ち消したが、これでは昔の人を笑えない。妖しくも美しい光にすっかり幻惑されてしまったようだ。ところで後で調べてみると、その大きな赤い星は火星だったのである。では、なぜいつもと違って見えたのか。天文ファンならお分かりだろうが、今月31日、火星が地球に最接近するため大きく明るく見えているのだという。「スーパーマーズ」と呼ぶらしい。およそ2年2カ月ごとに起きているそうだ。当たり前だが凶事のしるしなどではなかったのである。

 ▼火星といえばタコのような火星人が攻めてくる物語を記憶にとどめている人もいよう。現在は人類の移住先として有望視されているだけに、多くの人にとっては少し身近な存在になっているのでないか。谷川俊太郎さんの詩「二十億光年の孤独」を思い出す。「人類は小さな球の上で/眠り起きそして働き/ときどき火星に仲間を欲しがったりする/火星人は小さな球の上で/何をしてるか/僕は知らない」。31日には夜空を見上げ、火星人が何をしているか観察してみるとしようか。


夢あるわこうど

2016年05月26日 09時05分

 ▼ことしも4月20日から本紙3面「はばたけわこうど」で、建設業界に飛び込んできた若者たち18人を紹介した。まだ読んでいなければ、ぜひ目を通していただきたい。どの栄養ドリンクより元気が出ること間違いない。佐藤香純さん「早く現場に出たくてわくわくしてます」、浜田啓太さん「選んで良かったと思える人生を目指し、前へ」、佐藤健児さん「覚悟して選んだ道」。目は真っすぐ前を見ている。

 ▼皆、目標もしっかりと持っているようだ。塩島由妃さん「歴史に残るような大きな工事を担当したい」、島岡崚太さん「重要なインフラである道路を支えたい」、中屋秀平さん「地元に貢献する」。頼もしい限りである。希望に燃える若者たちの存在はうれしいものだ。一方で先日、気になる報に触れた。本紙21日付に載った日本建設産業職員労働組合協議会のアンケート結果である。45%の人が「建設業に魅力を感じない」と回答したという。長時間労働や低賃金がその理由らしい。

 ▼若い世代ほど転職を考える傾向にあるというから事態は深刻だ。若者の熱い想いに応え切れていないということか。経営者らも頭を抱えていよう。もっとも、業界だけの責任でない。生活を支えるインフラの維持や災害時の対応で地域を守る建設業の重要さが、いまだ社会に十分理解されていない問題も大きいだろう。入社前、業界について調べた島崎涼太朗さんはこう考えたそう。「自分が入ることで、少しでも状況が変われば」。若者の夢を、夢だけに終わらせていいわけがない。


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