コラム「透視図」

電力自由化

2016年03月04日 09時39分

 ▼作家水上勉は豪雪地帯で送電線を守る人々を見て心を動かされたそうだ。随想にそのときの思いを、こう記している。「文明の火壺から出る電力も、かくれたところで、人々が蟻のように働いてこそ消費者の手にとどくことを忘れないでほしい」(『続・閑話一滴』PHP研究所)。4月からそうして届く電力の小売り全面自由化が始まる。道内でも新規参入業者が家庭向けの顧客獲得に動きだしたようだ。

 ▼料金は下がり、サービスも多彩というのだから利用者としてはうれしい。ただ、少々ふに落ちない点もある。東京など道外で調達した電力を本道で売ることもできるというのだ。遠距離送電は損失が大きいから顧客と直接つなげるわけではない。料金だけのやり取りになるのだが、地域の電力設備をそれで持続させていけるのだろうか。現在の料金は、地域の電力会社が「蟻のように働いて」電力設備を維持してきた費用に加え、需給動向を見通すことで決めているもののはずである。

 ▼心配なのは、激しい競争で料金が道外に流出し、経済も収縮して地域の安定した電力環境が維持できなくなること。取り越し苦労ならいいのだが。家庭向けでないものの、2月には新電力大手が事業撤退との報もあった。同じ事が今後ないとも限らない。道内の新電力であれば地域安定供給の責任を将来にわたって共有できるだろう。さてビジネスライクな販売店に、そこまで高い意識を期待できるのか。自由化のつもりが、気が付いたら不自由になっていたのでは目も当てられない。


電力自由化

2016年03月04日 09時39分

 ▼作家水上勉は豪雪地帯で送電線を守る人々を見て心を動かされたそうだ。随想にそのときの思いを、こう記している。「文明の火壺から出る電力も、かくれたところで、人々が蟻のように働いてこそ消費者の手にとどくことを忘れないでほしい」(『続・閑話一滴』PHP研究所)。4月からそうして届く電力の小売り全面自由化が始まる。道内でも新規参入業者が家庭向けの顧客獲得に動きだしたようだ。

 ▼料金は下がり、サービスも多彩というのだから利用者としてはうれしい。ただ、少々ふに落ちない点もある。東京など道外で調達した電力を本道で売ることもできるというのだ。遠距離送電は損失が大きいから顧客と直接つなげるわけではない。料金だけのやり取りになるのだが、地域の電力設備をそれで持続させていけるのだろうか。現在の料金は、地域の電力会社が「蟻のように働いて」電力設備を維持してきた費用に加え、需給動向を見通すことで決めているもののはずである。

 ▼心配なのは、激しい競争で料金が道外に流出し、経済も収縮して地域の安定した電力環境が維持できなくなること。取り越し苦労ならいいのだが。家庭向けでないものの、2月には新電力大手が事業撤退との報もあった。同じ事が今後ないとも限らない。道内の新電力であれば地域安定供給の責任を将来にわたって共有できるだろう。さてビジネスライクな販売店に、そこまで高い意識を期待できるのか。自由化のつもりが、気が付いたら不自由になっていたのでは目も当てられない。


ガウディの夢

2016年03月03日 09時32分

 ▼スペインのバルセロナ市で着工から134年たった今も完成していないサグラダ・ファミリア贖罪(しょくざい)教会を知らない人はいないだろう。建築家アントニ・ガウディが構想した巨大聖堂だ。世界遺産でもある。図面や模型が少なく造形も複雑なため完成まで300年かかるといわれてきた。ところがその工期が大幅に短縮されているという。現在は2026年完成に向け工事が進んでいるそうだ。

 ▼秘密は潤沢な資金とITを使った建築技術にあるとのこと。先日、札幌市内で上映されたドキュメンタリー『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』に教えられた。同教会には毎年、世界中から300万人を超える観光客が訪れるらしい。この拝観料収入が最先端技術の導入を可能にしたのである。ガウディの独特なデザインを実現するためにCADは建築用でなく航空機用を採用。石材はコンピューター制御の切削機で加工し、複雑な部材は3Dプリンターで形成するといった具合だ。

 ▼石造に見えて実はRC造というところも多いそう。一方で40年近く建築に携わってきた彫刻家の外尾悦郎さんは、石が自分を動かし像が生まれるのだと話していた。そんな職人の技が尊ばれる場でもあるのだ。外尾さんは『ガウディの伝言』(光文社新書)に、観光客が増えたのは1992年バルセロナ五輪からだったと記している。こちらもレガシー(遺産)になれるといいのだが、と願わずにいられない。東京五輪に向け、日本の新国立競技場はことしから本格的な設計に入った。


公共投資

2016年03月02日 10時01分

 ▼米国のサブプライムローン危機に端を発したリーマンショックはまだ記憶に新しい。2008年のことだが、当時こんな短歌があった。何かしら被害を受けたに違いない。「アメリカよりドミノ倒しの世界不況八十三歳のわれにも及ぶ」(小石原百合子)。「中国より」と始めれば今の歌になろう。世界経済に再び暗雲が垂れ込めている。グローバル経済という荒馬を世界はなかなか乗りこなせないらしい。

 ▼ただ各国協調して手綱をしっかり持とうとはしているようだ。20カ国財務相・中央銀行総裁会議は2月27日、世界経済を成長させるため全ての政策手段を用いる、との共同声明をまとめた。経済の減速に立ち向かおうと足並みをそろえたわけだ。金融政策と構造改革をこれまで通り進めるほか、それだけでは不十分として、経済下支えと雇用創出のため「機動的に財政政策を実施する」方針を強く打ち出した。日本でも成長戦略としての公共投資が見直されることになるのではないか。

 ▼そうなるとまた大合唱が始まりそうだ。公共投資をすると国の借金がさらに増える、との公共悪玉論である。数量分析家の高橋洋一嘉悦大教授は『数字・データ・統計的に正しい日本の針路』(講談社)で、国のバランスシートの負債にしか目を向けないのが間違いと指摘している。資産と相殺すれば、借金が危機的とする論は「滑稽」だという。その分析は興味深い。経済成長は多くの社会問題を解決する。不況で嘆く人を出さないために、公共投資が有効なら積極的に役立てたい。


大荒れ

2016年03月01日 08時54分

 ▼きのうは普通ならうるう年でもうけものの1日になるはずだったが、こんなおまけならいらない、と思った人も多かったのでないか。本道は29日から大荒れの天気になり、ほぼ全域で暴風雪が吹き荒れた。比較的気温が高かったため、びしょ濡れになりながらようようの体で職場や学校にたどり着いた人もいよう。当方もその一人である。吹き付ける雪で眼鏡も役に立たず、諦めてポケットにしまい込んだ。

 ▼前線を伴う低気圧が急速に発達しながら本道を通過したとのこと。大気が相当不安定になっていたのだろう。きのうは吹雪の中、時折、雷も鳴った。「身の殻に入りたくなる冬の雷」(杉浦一枝)。突然の雷に肝を冷やした人も少なくなかったはず。札幌管区気象台によると、きょうは冬型の気圧配置が強まり、引き続き広い範囲で暴風雪になる見込みだそう。屋外の現場で作業している人にとっては難儀なことである。天候の急変にはくれぐれも注意し、無理などせぬよう願いたい。

 ▼そんな悪天のせいでおまけの日を味わう余裕もなく、きょうから年度末3月に突入である。決算に、納期にと、何かと慌ただしい月だろう。政界でも民主党と維新の党が野党再編の総決算とばかりに、今月中の合流を正式決定したそうだ。ぎりぎり間に合ったというところか。新党立ち上げに期限があるわけではないが、夏の参院選を考えれば4月から一枚岩で選挙対策を打てるのは大きい。といっても野合批判あり、両党内で政策の違いありと、当面は大荒れが続きそうな気配だが。


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