コラム「透視図」

第24回参院選

2016年06月22日 09時26分

 ▼漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)で長年人気を博している「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(作・秋本治)がこの6月で誕生40年を迎えたという。ご存じ同派出所の両津勘吉巡査、通称「両さん」が破天荒な行動で次々騒動を巻き起こすドタバタ劇である。連載開始当時小学生だった読者が今、50歳前後になっているのだからその息の長さには驚くばかり。何を隠そう当方もファンの一人である。

 ▼時に世相を風刺したり、深いうんちくを傾けるのも魅力の一つ。1986年の作品には両さんが参議院選挙に立候補する「道楽党起つ」(コミックス51巻)の話があった。円高なのに外国製のおもちゃが安くならないことに両さんは「政治が悪い!」と怒り出す。義憤に駆られたまでは良かったが、有権者にいい顔をしようとすぐ悪乗りする。出した公約は「週休四日! 一日の労働時間三時間! バカンス二か月!」。さらに若者や主婦の支持も得ようとどんどん大風呂敷を広げる。

 ▼さて現実の各党の公約はどうなっているだろう。7月10日投開票の第24回参院選はきょうが公示日である。アベノミクスや消費増税延期への評価、憲法改正の是非といった辺りが争点の中心になろう。国政選挙で初めてとなる10代の若者たちの投票行動も気になるところ。安倍政権打倒を旗印にした野党共闘に対する有権者の反応も一つの見どころか。ただ選挙となると決まって増えてくるのが候補者たちの美辞麗句と大言壮語。両さんじゃないんだから、と一言申し上げておきたい。


夏至

2016年06月21日 09時08分

 ▼昼の長いこの時期になると、子どものころ暗くなるまで外で遊んでいて、親に叱られたことを思い出す。同じ経験を持つ人も結構多いのでないか。日の長さにだまされ、気付くともう晩ご飯の時間なのである。島崎藤村もこの時期がお気に入りだったようだ。随想「短夜の頃」に記している。「まだ私達が眠りから醒めないで、半分夢を見ている間に、そこいらはもう明るくなっていると考えるのも楽しい」

 ▼きょうは一年で最も昼の時間が長い夏至である。いつまでも明るいというだけで、少し得した気分になるから不思議なものだ。そんなちょっとした心のぜいたくを詠んだものだろう。こんな句に目が留まった。「明易やまだ使はずの今日がある」(佐藤節子)。季語「明易し」は夜明けが早いことをいう。早朝に起き出してみると、子どもが真新しいお絵描き帳をもらったときのような幸せと希望が心に満ちてきたに違いない。これも夏の朝ならでは。冬だとまず布団から出たくない。

 ▼札幌管区気象台によると本道の天気はしばらく不安定らしい。いわゆる「えぞ梅雨」なのだろう。こう雨続きのどんより暗い日ばかりでは毎日がたそがれ時のようなもの。せっかく長い昼を堪能できる夏至の風情もいま少しお預けである。それでも農作物にとっては恵みの雨。嫌がってばかりいられない。先日、深川で国道から見た水田の稲も雨の中、青々と輝いていた。「いま充電中梅雨の家に聞くショパン」(黒澤さち)。夏本番がそこまで来ていると思えば雨だれもまた良しか。


150年事業

2016年06月18日 09時00分

 ▼実現不可能だと分かっていても、その話になると妙に熱が入るということがある。道民にとっては「北海道独立」というテーマもその一つだろう。そんな思いもあってか、先日、書店で雑誌『SINRA』(シンラ、天夢人)7月号の表紙に「北海道独立論」と大書してあるのを見て思わず買ってしまった。鮮やかな蝦夷錦を身にまとって立つ「夷酋列像イトコイ」の絵も強い存在感を放っていたのである。

 ▼読むと声高に独立を主張する内容でなく、開拓から約150年を経た今、あらためて本道が持つ大きな可能性を考えたいとの趣旨だった。道産子の一人としては、大きな可能性と言われると何か褒められたようで悪い気がしない。まあそれで満足してしまうのが悪い癖でもあるのだが。ところで、道庁もこの北海道命名から150年の節目に向けて動きだしたようだ。先頃、歴史や先人の偉業を振り返り新たな一歩を踏み出す「北海道150年事業」を検討する会議が開かれたという。

 ▼事業を象徴する人物には松浦武四郎を据えるそうだ。アイヌ民族と親しみながら本道を詳しく調査し、「北加伊道」の名を明治政府に提案した名付け親でもある。うってつけの人物だろう。ただ片手落ちの感がないでもない。アイヌからも選ぶべきでなかったか。命名後の開拓史と、それ以前の自然と豊かに暮らすアイヌの文化を一つの視野に収めてこその北海道のはず。象徴が二人ならイメージもしやすかったろう。一人でと言われたら、武四郎はまた家に帰ってしまうかもしれぬ。


職人イチロー

2016年06月17日 09時13分

 ▼民衆が日常で使う工芸品の美に気付き、「民藝運動」を起こしてそれを世に広めた思想家の柳宗悦は、品物の作り手である職人に深い敬意を抱いていたようだ。著書『手仕事の日本』でこうたたえている。「その腕前には並ならぬ修業が控えています。どんなに平凡に見えても、誰にでもすぐ出来る技ではありません」。仕事をおろそかにせず、正しい品物を作ることに誇りを持っているのが職人だという。

 ▼米大リーグ「マーリンズ」のイチロー外野手に、そんな優れた職人のイメージを重ねる人も少なくないのでないか。毎日使うバッティングの技を、怠ることなく磨き続ける姿勢に、自分に厳しい職人気質を感じるからだろう。イチローがまたやってくれた。15日(日本時間16日)のパドレス戦で2安打を放ち、日米通算4257安打の歴代最多安打記録を達成したのである。ピート・ローズ氏の記録を破った1打をニュースで見たが、鋭く右翼線に飛んだボールに胸のすく思いがした。

 ▼日米合算のため大リーグ公式記録にはならないが、大した問題ではあるまい。観客は大歓声で賛辞を贈っていた。目の肥えた人々にとってもイチローは魅力ある選手ということだろう。さあ次の期待はあと21本に迫ったメジャー3000安打だ。ただ本人に気負いはないに違いない。「人の数字を目標にしている時というのは、自分の限界より遥か手前を目指している可能性があります」(『イチロー・インタヴューズ』文春新書)。この職人は一体どこまで腕を上げるつもりなのか。


雨乞い

2016年06月16日 09時13分

 ▼夏のこの時期の季語に「雨乞」があるのをご存じだろうか。干ばつを恐れる農民らが神仏に祈願して雨を降らせる儀式だが、今は伝統芸能や物語の中で、ひっそりと生き永らえているくらいだろう。「月明し雨乞踊見に行かん」(正岡子規)。子規が育った四国愛媛も渇水に悩まされてきた地域だから、伝統が生きていたようだ。「雨乞の太鼓よわりし夕日かな」(蝶夢)。昔は降るまで連日続けたらしい。

 ▼関東地方の農業関係者は、できれば雨乞いでもしたいような心境に違いない。雨不足が続いているため、渇水の恐れが出ているのだという。梅雨時期なのに、降っているのは露程度ということか。同地方1都5県に水を供給している利根川上流の8ダム合計貯水率は14日現在、37%と平年の半分以下にとどまっているそうだ。中でも主要な矢木沢ダムにはたったの9%しかない。国土交通省などはきょうから、利根川の10%取水制限を開始するとのこと。かなり深刻な事態なのだろう。

 ▼日本気象協会によると今後も一時的に雨は降るものの、ダム周辺でまとまった雨量は期待できないそう。農業用水の効率的利用はもちろん、自治体によっては「水は流し放しにしない」「風呂の残り湯は洗濯に使用」など、一般家庭に節水を呼び掛けるところも出始めた。1994年渇水では全国で1600万人が影響を受け、1400億円の農作物被害も出ている。今回も渇水に万全の備えをしておくに越したことはない。後は天まかせ。取りあえず、てるてる坊主を逆さにでも…。


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