やろうと思っていることはあるのだが、どうでもいいことにかまけてつい先延ばしにしてしまう。覚えのある人も多いのでないか
▼作家の大竹聡さんもエッセー「夏の揺るがぬ決心」に書いていた。陶製の火鉢を手に入れたからメダカを飼おう、野菜の苗を買ったから畑仕事をしよう、と心に決めていたそうだ。ところが暑いため朝からダラダラしているとそばが食べたくなり、そば屋に行くと冷酒が飲みたくなり…。「ぴりっとくる生姜をかじり、酒をひと口。出汁巻きの、毎度毎度のため息のでるうまさに目を潤ませ、またひと口。ぐびり」。かくしてあしたこそは「片をつける」、と決心は持ち越されていくのである
▼こう暑くてはその気持ちもよく分かるというもの。「わが町を梱包したる暑さかな」国井貞子。ちょうどそんな感じだろう。本道の広い範囲で真夏日が続く。夏でも涼しいはずの釧路や稚内でも夏日が頻繁に現れるくらいだから、道産子にとっては難儀である。決心など思い出す余裕もない。この厳しい暑さは全国的で、高気圧が広く張り出してくるためあと10日ほど続くという。特に西日本では35度を超える猛暑日もあるそうだ。急速に暖められた空気は大気を不安定にし、ゲリラ豪雨や竜巻を呼ぶこともある。熱中症ともどもしばらくは警戒が必要だろう
▼本道も事情は同じ。子どもや高齢者、外で働く人には塩分と水分の摂取にとりわけ配慮が必要だ。水分補給にはならないものの、ときには暑気払いで昼間からビールを飲むのもいい。仕事は、まあ、あしたからで良いではないか。