おとといの参院予算委員会で少し意外な一幕があった。国民民主党の徳永エリ氏が北海道新幹線の赤字をJR北の経営に絡めて質問した場面である
▼麻生財務相は函館まででは収益構造が弱いとした上で、現在は「奥地の札幌の方が奥地じゃない」「今でも函館の人は(札幌から来た人に)、『ようこそ奥地から』と言うよね」と答弁。これに対し徳永氏が「北海道の人は奥地とは言っておりません」と反論したのだ。徳永氏は元リポーターで北海道選出だからご存じかと思ったが、どうやらそうでなかったらしい。それが意外だったのである。歴史を振り返るとかつて北海道の入り口は函館だった。そこから見れば北の地域は「奥地」というのがいわば常識
▼これは渡島総合振興局の「道南方言集」にも載っていて、「奥地」は「道南より北を指す」とある。筆者も函館に転勤した当初、特に年配の人に「奥地から来たのかい」とたびたび言われた。さほど昔の話ではない。むしろ麻生氏がよく知っていたものだ。一部マスコミも麻生氏の発言を問題視し〝北海道で反発の可能性も〟と書いていたが、いささか滑稽の感は否めない。言葉尻をつかまえるのも善しあしである
▼ただ徳永氏の質問自体は重要な部分を突いていた。きのうで開業3年となった新幹線の赤字が当初見込みより膨らんでいる事実、在来線存続への影響、JR北海道の経営は札幌延伸完了まであと12年大丈夫か―。残念ながらこれらに関して政府側から安心材料は出てこなかった。どうやら解決策は本当の奥地に迷い込んでいるようである。