コラム「透視図」

ゲーム依存症

2020年02月12日 09時00分

 テレビばかり見てるとばかになるからいいかげんやめなさい―。子どものころ、親にそう言われた人は多いのでないか。当方も毎日のように叱られていた一人である。それでもかじりついていると突然スイッチを切られたりして

 ▼何せ、ザ・ドリフターズの『8時だョ!全員集合』や「欽ちゃん」こと萩本欽一さんの全盛期で、歌番組も豊富。その上、特撮ドラマやアニメもあるとなれば画面から目を離す方が難しい。今も普通に社会生活を送れているところをみると、幸いにして親の予言は外れたようだ。当時は世間でもテレビの弊害がかなり声高に叫ばれていて、子どもに見せるのは平日1時間、休日3時間などと制限する家庭や学校も少なくなかった。どれだけ効果があったかは疑問だが

 ▼香川県が現在、子どものネットゲーム時間に制限を設ける条例の制定を検討していると聞き、昔日の経験を思い出した次第。県議が超党派の議員連盟を結成して強く推進し、ことし4月1日の施行を目指しているそうだ。名称を「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」という。過剰な利用で依存症になると親子の信頼関係形成が阻害され、社会参加への意欲も失われる問題を指摘。それを防ぐための学校や保護者、行政、事業者の責務を定める

 ▼趣旨はもっともだろう。「ゲーム障害」は今や世界保健機関も危惧するところだ。ただ、かつてテレビっ子で今テレビ依存症の人はまずいない。条例で時間まで決めて上から押さえつけるやり方が妥当なのかどうか。親の目を盗んで見ていたあのころが懐かしい。


さっぽろ雪まつり

2020年02月08日 09時00分

 あってもなくても文句を言いたくなるものは何か―。答えは「雪」である。そう聞いてうなずく人は雪国で生まれ育った人だろう。このあたりの複雑な感情は雪のない土地の人には分からないかもしれない

 ▼「節分過ぎ凍てつく日続く夜よりも昼の寒さに耐へ難くをり」長尾法子。今冬はそんな耐え難い日が来ないのかと思いきや、記録的な暖かさになった1月が終わった途端、本道はすっぽりと強い寒気に覆われた。ストーブの火力を強めにした人も多かったに違いない。きのうも各地でマイナス25度を下回る気温が相次いだ。陸別の27・4度を筆頭に阿寒湖畔26・1度、歌登25・2度といった具合。札幌では5日から6日にかけて大雪が降り、一気に平年並みを超え79cmもの積雪に達した

 ▼「雪除けにはげむ人あり路をゆく吾とほらしめ汗ふきてをり」氏家不二雄。道行く人を通らせるため、作業の手を止めて汗を拭ったのだ。たぶん〝雪がないのも寂しいが、こんな一遍に降らなくても〟と文句を言いながら。ともあれ札幌がようやく冬らしい姿になったのも事実。開催中の「さっぽろ雪まつり」にちょうど間に合った。雪不足で雪像ができるかどうか危ぶまれていたのが、うそのようではないか

 ▼先日、大通会場を覗いてみると、いつものようには中国語が飛び交っていなかった。人出もやや少ないようだ。新型肺炎のせいだろう。「氷廊を渡りおとぎの城に入り振り向く児らのあどけなき顔」相良和。地元民はあまりまつりに行かないものだが案外ことしは狙い目かもしれない。開催は11日までである。


住宅街で土砂崩れ

2020年02月07日 09時00分

 浄土真宗の祖、親鸞は9歳の時に得度のため比叡山を訪れた。着いたのが夜遅くだったため、「時間も遅い。あすにしてはどうか」と勧められたが、親鸞はこんな短歌を詠んでその日のうちに得度を受けさせてもらったそうだ

 ▼「明日ありと思う心のあだ桜夜半に嵐の吹かぬものかは」。あした見ればいいと思っていた桜も、夜に嵐が来れば全て散ってしまう。先に何があるかなど人間には分からないというのだろう。あまりに悲しい出来事である。おとといの朝、神奈川県逗子市の市道脇歩道を歩いていた女子高生が、突然崩落してきた土砂の下敷きになり亡くなった。夜に嵐が吹くどころではない。住宅街のただ中である。土砂崩れに巻き込まれるとはいったい誰に予想できようか

 ▼18歳というから今は高校卒業を控え、文字通り未来に夢や希望を膨らませている時期だったに違いない。本人も無念だったろうが家族や友人たちの心痛もいかばかりか。ほんの1分前後していれば運命は変わっていたと思うと―。現場横は上にマンションが立つ高さ15mほどの斜面で、下から5mほどが石垣で補強されていたという。その上部のむき出しの土砂が崩れたのである。「土砂災害警戒区域」に指定されていたらしい

 ▼おととしの大阪北部地震で高槻市の小学校のブロック塀が崩れ、登校中の女児が亡くなった事故を思い出す。あの時も事前に危険は指摘されていた。今回も警戒区域指定があったということは対策をとれた可能性もなくはなかったのだ。桜を散らすのは防げたかもしれないと思うと残念でならない。


中国が初動で失敗

2020年02月06日 09時00分

 歴史上、高い致死性で何度も人類に壊滅的被害を与えた感染症といえばペストをおいて他にない。14世紀のパンデミック(世界流行)では欧州人口の6割が失われたとみられている

 ▼感染経路は「ネズミから人」が定説だが、近年は別の説も出ているようだ。「人から人」への感染が主だったというのである。英国の公立大の研究員が「ネズミから人」では拡大状況とつじつまが合わないことに気付き、調べたそうだ。研究員は新たな資料を基にコンピューターで感染シミュレーションを繰り返し、「人から人」が主流でないとあれほど急速に広まらないことを明らかにしたのである。当時は感染源がネズミとの認識で退治に力を入れていたが、時すでに遅しだったわけだ

 ▼昔の人はこれだから、と笑ってはいられない。いま世界に飛び火している新型コロナウイルスでも中国は同じ過ちを犯した。「野生動物から人」で事を済ませようと情報を抑えたため、「人から人」への対策が大幅に遅れてしまったのである。その結果が爆発的な感染拡大だ。きのうまでに感染者2万4000人以上、死者490人に上る。習近平指導部は3日、初動に「欠点と不足」があったと公表した。自ら失策を認めるのは異例という。厳しい国際社会の目に知らぬふりはできないと観念したのだろう。不安と怒りが渦巻く国内事情にも配慮したか

 ▼武漢で最初に患者が出た昨年12月初旬からの空白の1か月間がつくづく悔やまれる。中国にいまだ残る隠蔽(いんぺい)体質もウイルスには勢力を広げるのに格好の環境だったらしい。


うそつき

2020年02月05日 09時00分

 うそも方便というが、同じうそでも罪のあるのとないのと二種類があるようだ。さしずめこちらの噺は罪がないものの代表でないか。落語の「弥次郎」である

 ▼この男、根っからのうそつきで本当の事を言ったことがない。ある日、ご隠居の家へ出掛け北海道旅行の話を始めた。「宿で茶を飲もうとすると口に運ぶまでに凍りついた」「雨が氷の棒になって降るんで傘はブリキでできてる」。もうめちゃくちゃである。とはいえ周りも弥次郎が言うのはうそだと分かっているからどこか楽しんでいる風がある。本人も面白がらせようと話を練って用意しているのだ。一方で罪なのはついてはいけない場面で出るうそだろう。国会などはその典型かもしれない

 ▼きのうの衆院予算委員会のことである。立憲民主党の黒岩宇洋議員が「桜を見る会」関連の質問をしている際、安倍首相が黒岩氏に対し「うそつき」と言い放った。黒岩氏が以前、同会の前夜祭で高級店「久兵衛」のすしが出たと発言した点についてだった。国会で「うそつき」の言葉が出るとは穏やかでない。黒岩氏は「そのすし屋が提供したとはひと言も断言していない」といきり立った。濡れ衣なら怒るのは当然だ

 ▼ところが黒岩氏は言っているのである。昨年11月の第1回追及チーム野党合同ヒアリングで「久兵衛のおすしが出た」と語っていた。映像も残っている。本人はお忘れかもしれないがいささか恥ずかしい。「うそつき」と言い放つ首相も少々大人げないにせよ、言われて仕方のないことをする方もどうか。弥次郎も苦笑いに違いない。


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