コラム「透視図」

身体尺

2020年06月26日 09時00分

 長さや重さの単位に統一規格がなかったころ、人は体の一部を測り方の基準にしていた。「身体尺」と呼ぶ。欧米の「フット」(足)や、日本の「尺」(広げた手の親指から中指)がその典型だろう

 ▼夏目漱石の小説『彼岸過迄』にもこんな一節があった。「森本は自分が肱を乗せている窓から一尺ばかり出張った縁板を見て、『ここはどうしても盆栽の一つや二つ載せておかないと納まらない所ですよ』と云った」。1尺は尺貫法で30・3cmだが、それだけ大きい手を持つ人はほとんどいない。ただ、およその長さが分かっているからこそ、盆栽を置くのにふさわしい空間を友人に伝えられたのである。ところでこの身体尺、新型コロナウイルスをなだめすかしながら暮らす「ウィズコロナ」にも大いに役立つのでないか

 ▼感染防止のための新しい生活様式の一つに、人との間隔を適切に空ける「ソーシャルディスタンス」がある。できれば2m、最低でも1m離れるのがその基本だ。この距離を簡単につかめる。まず両手を左右に広げたときの長さ「尋(ひろ)」を使ってみたい。1尋は約1・8m。マスクなしでも一応安心な距離である。成人男性が前へ倣えをしたときにできるスペースは約0・8m。対面を避け、マスクもした方がいい

 ▼メジャーいらずですぐに距離を見積もれるのがいいところである。身体尺ではないがもう一つ、手頃な物で切りの良い長さを知りたい場合は当紙「北海道建設新聞」をご利用いただきたい。新聞を開いて対角線が約1mである。皆さんにとっても身近だといいのだが。


軍艦島

2020年06月25日 09時00分

 その映画はかなり血湧き肉躍るエンターテインメント作品であるらしい。2017年の封切りで、見てはいないが当時も何かと話題になったため筋立ては知っている。こんな内容だった

 ▼だまされて生まれ育った国から別の国の炭鉱島に連れてこられた人々が、奴隷のように働かされている。ある日、ひどい扱いに耐えかね人々は蜂起。壮絶な戦いの末に島からの脱出に成功するのだった。韓国映画『軍艦島』である。スタローン主演の『ランボー』のように虚構を楽しむならいいが、韓国にはこれを実話と信じる人もたくさんいるらしい。軍艦島とは長崎市の端島のこと。明治期から海底炭鉱で栄え、朝鮮からの出稼ぎ者も多かった。そんな事情と太平洋戦争が重なり、朝鮮人強制労働説が広まったようだ

 ▼端島は2015年に「明治日本の産業革命遺産」としてユネスコ世界遺産にも登録されている。韓国は今回、これを狙ってきた。おととい、ユネスコに登録取り消しの可能性を示唆する書簡を送ったという。韓国の動きを見越し、政府は15日から産業遺産情報センター(東京)で「朝鮮半島出身者への差別はなかった」とする元島民証言を一般公開した。数々の資料も賃金含め待遇が日本人と変わらなかったことを裏付けている

 ▼韓国の反日を実証的に研究する李栄薫氏は編著書『反日種族主義』(文藝春秋)で、『軍艦島』の米国向けPRに使われた写真が北海道開拓時に日本人を写したものだった事実を明らかにした。うその歴史を教えられた韓国人もいわば被害者である。早く真実に気付くといい。


富岳が世界一に

2020年06月24日 09時00分

 山歩きを趣味にする者として、生きているうちに一度は富士山に登りたいと考えている。同じ思いを抱いている人はきっと多いだろう。秀麗な立ち姿をめでたいのなら絶景の地から眺めれば済む。ただ、日本一の高さを体感したいなら自分の足で登るしかない

 ▼都合が付けばことしにでもと、登山道の確認や持ち物、高山病対策といった準備を始めていたのだが、新型コロナウイルスのせいで中止せざるを得なかった。富士山の何がそんなに魅力かといえば、それ以上高い地点が日本にないことである。人は限界を目指したい生き物なのかもしれない。こちらはその見事な実例でないか。日本一どころか世界一の快挙である

 ▼理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、22日に公表された計算速度の世界ランキングで首位を獲得したのだ。速さは1秒間に41・5京(1京は1兆の1万倍)で、2位の米「サミット」(14・8京)に3倍近い差をつけた。日本の世界一は8年半ぶりだという。新型コロナではウイルスが飛沫(ひまつ)を介して人から人へ伝わる様子を詳細に分析。感染防止に一役買った。計算速度が飛躍的に上がったため、すぐに答えが必要なときに対応できたわけだ

 ▼「富岳」はもちろん富士山の異名。蓮舫参院議員が民主党政権時代の事業仕分けで「2位じゃだめなんでしょうか」とやゆした「京」の後継機である。この偉業は開発者があくまでも世界一を見据え、着々と準備を進めてきたからこその結果だろう。目指しもしないのに頂上到達などできるはずもない。


河井夫妻逮捕

2020年06月23日 09時00分

 人類史上最大の発明はお金といわれる。確かにどんな物とでも交換できるお金ほど便利な存在はこの世にない。ただ、無いと困るが有り過ぎても困るのがお金だという。たまには有り過ぎの気分を味わってみたいものだが、そんな機会はとんと訪れない

 ▼そんな事情も手伝ってだろう。このお金というもの、時に物だけでなく心まで買えてしまうのが怖いところである。「地獄の沙汰も金次第」とはよく言ったものだ。この人たちもお金で関係者の心を買おうとしたとみえる。先週、公職選挙法違反(買収)で東京地検特捜部に逮捕された前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員である。地元議員ら90人以上に票のとりまとめを依頼する趣旨で、合わせて約2570万円ものお金を提供した疑いが持たれている。有り過ぎて困ることはなかったようだ

 ▼昨年7月の参院選で案里議員(広島選挙区)の初当選を確実にしようと大々的にばらまいたらしい。「現生」が飛び交った昔の選挙戦の話を聞くようである。克行容疑者は提供を認めているものの、票の取りまとめ依頼は否定しているそうだ。統一地方選のさなかでもあり、依頼でなく「陣中見舞い」や「当選祝い」であれば買収にはならない

 ▼とはいえ次期参院選公認候補の案里氏の夫で現職の国会議員がお金を配り歩いているのに、それを単なる「見舞い」などと考える人はいまい。「地獄の沙汰」ならぬ「選挙の票も金次第」か。モラルが低過ぎる。河井夫妻に限らず政治家は忘れないことだ。有権者が怒るとえんま様より怖いしお金でも動かない。


日本の評価は「可」

2020年06月22日 09時00分

 時事通信ロンドン支局が先週配信した記事を新聞やテレビで見て驚いた人もいるのでないか。英誌エコノミストの調査部門が経済協力開発機構(OECD)加盟21カ国の新型コロナウイルス対応を独自評価した結果、日本が「優、良、可、不可」の4段階で下から2番目の「可」にとどまったというのである

 ▼意外な低評価だ。しかも死亡者が世界最多の米国や、日本の30倍のフランスに「良」をつけているのである。通信簿に納得できず憤慨する子どもではないが、「一体どこを見ているのだ」と文句の一つも言いたくなろう。今回の評価は幾つかの指標を点数化して決められた。日本はPCR検査数が影響したらしい。他国に比べ実施数が少ないため、点数が低く抑えられたのである

 ▼この指標を一律に適用したのが間違いだろう。大事なのは使い方とタイミングだ。欧米の主要国は当初闇雲にPCR検査を実施したため、症状の軽い患者まで病院に殺到する羽目となり、医療崩壊を起こしたのではなかったか。実際、人口10万人当たりの死亡者数を比べると日本は0・74人で21カ国中18位と大健闘。「優」のドイツは10・66人で12位である。初期ならともかく収束しつつある今、「可」とはこれいかに

 ▼指標にはむしろ日本で効果を上げている三密の回避やクラスターつぶしを入れるべきだったかもしれない。政府は19日、継続して自粛を要請していた首都圏と北海道の移動を解禁。これで全都道府県をまたぐ交流が再びできるようになった。「可」の評価が妥当だったかどうか、まあ、見ていてもらおう。


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