長い人生の中では近しい人との心のすれ違いを経験することもたまにはあるのでないか。シンガーソングライターの浜田省吾さんは楽曲『いつわりの日々』でそんな心の葛藤を描いた
▼結婚していた二人の心がいつからか通い合わなくなってしまったのだ。こんな歌詞である。「背中むけたまま眠る夜/Good―bye/darlin/Good―bye/my/love/別々の夢/君は安らぎを/僕は自由を」。地理的には近しい日本と韓国も、このところ背中を向けて眠る夜が続いている。まあ、関係が改善したかと思えば、次の日にまたすれ違いが生じるのはいつものこと。それぞれに別々の夢があるのだからある意味仕方がない。ただ、今回はいつになく深刻だ
▼韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題と、いわゆる「徴用工」訴訟で原告による日本企業の資産差し押さえが始まった事案のためである。このままではすれ違いどころか殴り合いに発展しかねない。駆逐艦は事実経過、徴用工は国際法から日本に理があるのは明らか。政府は断固とした態度を貫くべきだろう。とはいえ韓国を一くくりに糾弾するのもどうか。朝鮮日報オンラインを見ると、例えば駆逐艦問題への「読者の意見」では自国を批判する声に支持が集まっている。韓国民の多くは事態を公平、冷静に見ているらしい
▼文在寅大統領はきのうの記者会見で徴用工問題について、日本政府がこれを政治問題化していると責任を転嫁した。大統領と国民にもすれ違いが生じているのでないか。