西日本に甚大な被害をもたらした雨が異常な兆候を示しはじめた今月5日から、きょうで2週間たつ。この間、ニュースを見るたびに増えていく犠牲者数に、暗たんたる思いでいた
▼ただ、そんな傍観者のものでしかない同情の言葉を並べるのがはばかられるくらい現地の状況はひどい。政府の発表によると17日現在、死者222人、行方不明17人。家屋浸水や倒壊、流失は数知れない。平成最大の豪雨災害だという。なぜこれほどの被害になったかの詳しい検証はこれからだが既に幾つか分かっていることもある。一つ目は雨が過去に例のない降り方をするよう変わってきたこと、二つ目は高齢化や災害想定のミスといった要因で避難が遅れたこと、そして三つ目が少し前にも書いたが治水事業の停滞である
▼この先、対策を進める上で最も大切なのは治水だろう。国や自治体が方針を示せばすぐに実行できることである。空に降り方を指図することはできないし、高齢化対応や人々の意識改革はそう容易でない。悲しい現実を知った。各種報道によると、小田川堤防決壊で大きな被害が出た岡山県倉敷市真備町では、今秋から同川などの整備に着工する予定だったという。古い砂防ダムが流失し多くの死者が出た広島県坂町小屋浦では2年後、新しいダムが完成するはずだった
▼工事がもう何年か早ければ事態は違っていたろう。もちろん治水で全てが解決するわけではない。しかし現在の治水予算は20年前の3分の1。費用対効果が声高に語られた結果がこれである。削減した分で日本は何を得たのだろう。