円谷プロダクションの空想特撮シリーズに、地球の平和を乱す怪獣と戦うヒーローを描いた「ウルトラマン」(TBS)がある。毎週、テレビの前で胸を躍らせていた人も多いのではないか
▼あらためて説明するまでもなかろうが、ウルトラマンはM78星雲から来た異星人で宇宙警備隊の一員。普段は人間に体を借り生活しているが、地球に危機が迫ると変身し、科学特捜隊と共に迫りくる脅威をはねのけるのである。初代ウルトラマンが放映されて50年余り。いよいよ日本も現実に宇宙の脅威から地球を防衛する専従部隊の創設に乗り出すらしい。ただしこちらの敵は怪獣でなく、宇宙ごみ。防衛省が新年度予算案に、2022年度までに監視のための組織を発足させ、運用システムを構築する経費を盛り込んだという
▼ウルトラマン世代としては、「何だごみか」といささか拍子抜けの感は否めない。ただ事態が年々深刻の度を増しているのは事実。制御不能の人工物が既に約2万個も地球の軌道を回っている。ごみの正体は使用済みの人工衛星やロケットの部品だが、自治体のごみ収集車の経路には入っていないため増える一方なのだ。このままでは衛星や宇宙ステーション、船外活動中の宇宙飛行士に衝突する危険性が高まるばかり
▼そこで考案されたのがごみをレーダーで常に監視し、危険を察知すると同時に衛星軌道を修正する仕組み。脅威をはねのけるのでなくよけまくるというわけ。単純な方法のようだが実はこのごみ、速さはマッハ20以上。やはり怪獣を倒せるくらいの技術が必要なのである。