明治時代、札幌農学校で共に学んだ教育者新渡戸稲造、思想家内村鑑三、植物学者宮部金吾の3人は、東京外国語学校英語科の同期でもあった。その東京外語で3人は何としても英語を上達させたいと、一つの申し合わせをしたそうだ
▼それは日常の会話を全て英語ですることとし、ひと言でも日本語を発すれば罰金を科すというものだったという。若さゆえの意地や負けん気もあり、随分と上達の役に立ったらしい。そんなお互いの発奮材料になるゲーム感覚の罰金ならまだ分からぬでもないが、過日話題になったコンビニ「セブン―イレブン」のフランチャイズ店での罰金騒動はどうにもいただけない
▼東京都武蔵野市の店でアルバイトをしていた女子高生が、風邪で2日間休んだ罰金としてバイト代から9350円を差し引かれたというのである。店の言い分は「代わりの人を見つけなかったのが悪い」だったという。女子高生が感じた悔しさは想像に難くない。人の手当ては本来、店側がするものでないか。コンビニの人手不足はつとに知られている。ぎりぎりの人員で業務を回している店舗も少なくないのかもしれぬ。しかし、だ。例えばインフルエンザで急に発熱し、仕方なく連絡が当日になる場合もあろう。どこに罰金を科す名分があるのか
▼これではセブンの名で若者に無理を強いていると批判されても仕方ない。「セブン―イレブン、いい身分」と皮肉の一つも言いたくなる。当方も毎日のように利用しているが、客はもちろんバイトも店も、どうせなら「いい気分」でいたいものだ。