コラム「透視図」

初場所で徳勝龍優勝

2020年01月28日 09時00分

 戦国大名斎藤道三は、一度狙いを定めて食い付くと相手を倒すまで離さなかったという。美濃のマムシと恐れられたゆえんである。一介の油売りにすぎなかった男が、一国一城の主にまでのし上がったのだから大したものだ

 ▼稲葉山城主長井長弘の家臣になったのを皮切りに武士として出世街道を突き進み、ついには主君を倒して城も名前も奪った。次いで近隣の地を制圧し、とうとう美濃国を手中に収めたのである。まさに下克上の代表格と呼ばれるにふさわしい。この力士もそれくらいの快進撃を見せたのでないか。大相撲初場所で番付最下位幕尻から初優勝という、史上まれに見る下克上を成し遂げた徳勝龍である

 ▼東西合わせて42人いる幕内力士のうち西方一番下の前頭十七枚目。一方で年齢は33歳とかなり上の方に属する。こんな結果を予想できた人は一人もいなかったに違いない。2日目にして一つ上の番付十六枚目の魁聖にあっさり砂を付けられたこともあり、序盤はほとんど注目されていなかった。8日目に琴奨菊を下したあたりからだろうか、観客の見る目が変わってきた。小細工なしで真っ向ぶち当たり、土俵際でねばって逆転する。一度四つに組んだら相手を倒すまで離さない


サラ川2020

2020年01月27日 09時00分

 受験シーズン真っただ中、学問の神様菅原道真を祭る太宰府天満宮は大層にぎわっていよう。その道真だが自ら望んで大宰府に赴いたのではなかった。政争に巻き込まれ、あらぬ疑いを掛けられた揚げ句、左遷されたのだ

 ▼都を去る時の歌がある。「流れゆくわれはみづくとなりはてぬ君しがらみとなりてとどめよ」。藻くずとなる私をどうか助けて。悲痛な叫びだ。今も昔も宮仕えは理不尽がまかり通るものらしい。ことしも第一生命の「サラリーマン川柳」(第33回)優秀100句が発表になった。さて、宮仕えのどんな悲痛な叫びが集まったのだろう。少しのぞいてみたい。「AIを部長と呼ぶ日がすぐそこに」怪傑もぐり33世。出世争いの相手は人間でなくコンピューターということか

 ▼「役に立つ昔は上司いまスマホ」たつピョン。〝グーグル先生〟は指先一つで仕事のコツから礼儀まで偉ぶらずに何でも教えてくれる。となればこうなるのも自然の成り行き。「二次会を断るつもりが誘われず」光源氏。男性サラリーマンは家でも永遠の左遷扱いらしい。「60年政権交代しない妻」夜来香。消費税率アップを受けたこんな句もあった。「2%増なぜか小遣い2割減」ぴのすけ。身につまされる話だ

 ▼これなど今やどの業界も事情は似たようなものかもしれない。「若手呼ぶ連れて来たのは五十代」田舎の建設業。本物の若手はいったいどこへ消えたのか。「定年や辞めるに辞めれぬ2000万」トム?ソーヤ!。人生終盤に、はしごを外されるこの理不尽。優秀100句全作品は同社のHPでどうぞ。


キタデミー賞で調停

2020年01月24日 09時00分

 お客さんに会社を知ってもらうにはホームページの開設が一番―。そんな甘い言葉に誘われWeb製作事務所に発注したはいいが、出来上がってみるとあれこれ最新の機能が詰め込まれとんでもない請求額に。ITバブルの時代によく聞いた話である
 
 ▼入り口と幾つかの小部屋があれば十分と考えていた会社の担当者は大慌て。請求の内訳を見ても知らない言葉ばかりで何にどう使われているのかさっぱり分からない。せっかく作るのなら優れたものにしたい会社と、その足元を見て高くても買うと踏んだ事務所の共演による悲喜劇だろう。そんなバブル時代をほうふつとさせるような話が今でもあるとは思わなかった

 ▼おととしの北海道命名150年を記念するイベント「キタデミー賞」で、道が運営を委託した東京の制作プロダクションに予算を大きく上回る6500万円を請求されていたというのだ。ちなみに予算は900万円。昨今話題の「桜を見る会」でも経費は予算の3倍だが、これは7倍以上である。道は支払いを拒否したため制作側の「ギークピクチュアズ」(東京)が札幌簡裁に調停を申し立て、このほど道が2805万円を負担することで決着したという。あろうことか道は契約書も交わさぬまま運営を任せていたらしい

 ▼キタデミー賞は吉永小百合さんや北島三郎さんら本道ゆかりの著名人が登場する盛大な催しだった。制作プロとしては公的な記念イベントだから青天井でいけると踏んだのかもしれない。何ともばかばかしい話だが、税金を納める道民にしてみればほとんど悲劇である。


働き方改革 

2020年01月23日 09時00分

 締め切りに間に合わせるためほとんど寝ずに仕事をしていた手塚治虫さんの逸話がよく知られているせいか、漫画家といえば夜に日を継いで必死に働く人のイメージがある。ただ人気漫画家といってもそんな人ばかりではないらしい

 ▼『週刊少年ジャンプ』(集英社)で40年間一度も休まず『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載を続けた秋本治さんは、朝の9時に仕事を始め、夜の7時には切り上げているそうだ。しかも間に各1時間の休憩を2回挟み、休日もしっかり取るという。アシスタントも同じ体制で、タイムカードを使って出退勤管理もしているというからその徹底ぶりには驚くほかない。『秋本治の仕事術』(集英社)で知ったことである

 ▼秋本さんにとってはいまさらだろうが、世間では最近、「働き方改革」の声が急激に大きさを増してきた。政府が重点施策に据えているのに加え、実体も分からぬ顧客満足度を維持するため働く者に無理を強いてきた企業のやり方に限界もきているのだろう。象徴的なのは24時間営業の相次ぐ見直しや廃止である。ローソンやセブン‐イレブンといった大手コンビニチェーンの時短営業容認に続き、全国で「ガスト」などを展開する外食大手すかいらーくホールディングスも20日、4月までに系列全店で24時間営業を廃止すると発表した

 ▼少子高齢化で労働力人口が減る一方の日本。人手不足は企業にとって死活問題だ。「規則正しい勤務体制こそが理想の働き方」。不沈激しい漫画界で40年トップを走り続けた秋本さんのこの言葉は大いに参考になろう。


国会で台湾の名を呼ぶ

2020年01月22日 07時00分

 池田町出身の吉田美和さんがボーカルを担当する音楽ユニット「DREAMS COME TRUE」の楽曲の一つに、吉田さんが作詞した『何度でも』(作曲・中村正人、吉田美和)がある

 ▼いつ聞いても励まされる歌だが、特に落ち込んでいるときなどはふつふつと元気が湧いてくる。中でも胸に響くサビの部分はこんな歌詞だ。「何度でも何度でも何度でも 立ち上がり呼ぶよ きみの名前 声が涸れるまで」。名前を呼ぶというのは、「きみ」を大切に思っているとのメッセージだろう。20日開会した通常国会でもそんな名前を呼ぶ光景が見られた。安倍首相が施政方針演説で「台湾」に触れたのである

 ▼復興五輪の文脈でホストタウンを紹介する際、「岩手県野田村は台湾」と数あるホストの中からあえて台湾を取り上げた。演説で外交関係のない台湾に言及するのは極めて異例なこと。東日本大震災時の多額の義援金への感謝と、先日の総統選で民主派の蔡英文氏が再選したことへのエールに違いない。首相が「台湾」と言った瞬間、議場は歓声と大きな拍手に包まれた。立場は違えどお互い助け合い、中国と対峙しながら民主主義を堅持する者同士。思わず友好の情があふれたのでないか

 ▼蔡総統もその夜にツイッターで、「日本の国会で大きな拍手を浴びたのは実に嬉しい」「頑張ろう!東京オリパラ!」と発信していた。エールの交換だ。中国の「一国二制度」の正体は香港で白日の下にさらされた。大きな力によって消されることのないよう、日本は何度でも「台湾」の名を呼ぶ必要がある。


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