地球をバスケットボールの大きさに見立てると、地殻は0・5㍉程度のごく薄い膜でしかないそうだ。以前、一般向けの科学読み物で仕入れた知識である
▼ざっくり言うと地球表面から核の中心までの距離は6370㌔。地殻はそのうち、海洋で10―35㌔、大陸で最大75㌔(ヒマラヤ山脈)ほどにすぎない。そんな薄い膜のすぐ下でプレートが暴れるのだから、地面が揺れるのも当たり前。地球とは何と奇妙なものか。最近、全国各地で比較的大きな地震が相次ぐ。今月に入ってから、5日の石川県能登地方を震源とする震度6強を皮切りに、11日の千葉県南部の5強、13日の鹿児島県トカラ列島の5弱と続いた。おとといも東京の伊豆諸島で5弱を観測している
▼発生場所はばらばらで、どうやら直接の関係はないらしい。震源も内陸だったり海だったり。地震の引き金となるプレートもそれぞれ違う。とはいえ余震でもない大きめの単発地震が短期間にここまで集中すると、いささか心配になるのが人情だろう。先の科学読み物では地球をスコッチエッグに例えていた。ゆで卵をひき肉で包み、パン粉をまぶして揚げた料理である。表面はカリッと固いが内部は層構造で中間が柔らかい。地球では地殻の下のマントルが軟らかい卵に当たる
▼マントルは流動しているため力を及ぼす範囲が広い。ただ内部ゆえリアルタイムで様子は分からないのが現実である。科学がもっと進めば全ての地震が一本の糸でつながるのかもしれない。今は頻発する地震を、しっかり備えよとの地球の呼び掛けと考えるほかないか。