北海道開発局など国の発注機関による、賃上げ企業に総合評価方式で加点措置をする工事、委託業務の各公告が既に始まっている。2021年12月27日の閣議を経て、急きょ開始したインセンティブ付与制度。ほとんどの建設業者がこれに戸惑っている状況だ。今回、代表的とされる疑問点を税理士・専門家に問い掛け、対応指針などをヒアリングした。
国の発注機関が、賃上げする企業に対して総合評価方式で加点措置する制度が大きな波紋を呼んでいる。この加点が受注に大きく影響するため、多くの建設業者が賃上げを表明すると想定される一方、業界内では加点措置が長年続くことで経営困難となる業者が出てくることを危惧している。北海道建設業協会は、2月4日までに傘下の11建協から募った疑問点を取りまとめ、北海道開発局を通じて国土交通省に提出する予定だ。
北海道開発局は、賃上げを実施する企業に対して総合評価方式で加点措置を講じる。適用対象は、4月1日以降に契約締結する総合評価の工事、建設コンサルタント業務、物品、役務。プロポーザル方式や価格競争は対象外とする。従業員に対して賃上げを表明した入札参加者を総合評価時に加点評価。賃上げによる加点割合は5%以上となるように調整する。開発局が示す標準配点例では工事で2―4点、業務で6点か9点を加算するようにしている。(ダウンロード資料あり)
北海道開発局は、建設コンサルタント業務などの指名業者審査基準を策定・公表した。具体的な指名業者の審査基準を新たに盛り込み、通常指名競争入札の客観性と透明性を確保。1次―2次選定を通過した業者を入札・契約手続き運営委員会が決定する流れとしている。
新型コロナウイルス感染拡大の第4波と発注ピークが重なった道内。各行政機関では発注における感染症対策が重要な要素になっている。委託業務を中心に採用されるプロポーザル方式では、提案内容を確認するヒアリングやプレゼンテーションが付きものだが、従来の直接対面方式からオンラインや書面審査へと切り替える動きが目立っている。緊急事態措置期間は残り2週間ほどだが、終了後も感染状況に合わせて実施方法を検討する発注機関もあり、参加者側は状況に応じた対応が必要になっている。(感染症対策取材班)