本間純子 いつもの暮らし便 第49回/図書館のカード目録
9月の初めに北海道図書館大会が開催されました。道内の図書館関係者の学びや協議の場で、毎年この季節に開かれます。コロナ禍は、中止やオンライン開催でしたが、昨年から対面での通常開催に戻りました。北海道カラーユニバーサルデザイン機構(北海道CUDO)は、カラーユニバーサルデザイン(CUD)の周知活動の一つとして、2019年より出展しています。今回、私は、北海道CUDOのスタッフとしての参加ですが、実は、昭和の時代、図書館司書として参加したことがありました。
私は図書館司書からの転職組です。図書館司書とインテリアコーディネーターの職業イメージが違いすぎるのか、「180度の転換」「全くの異業種」などと、よく言われました。私はそれほど違う仕事とは、感じていませんでしたけれど、本に囲まれた日常から、建築材料やインテリア商材を扱う日常に、変わったことは確かです。私が、変化と感じなかったのは、仕事の根元にある「探す」という作業が共通しているからかもしれません。図書館では、質問の答えが書かれている本を探し、インテリアでは、コーディネートのために商品を探す。「探す物」は違っても、「探す作業」に違いは無いように感じます。
今でこそインターネット検索で、各図書館の蔵書を探すことができますが、昭和の時代は極めてアナログで、頼りは図書目録のカードでした。「分類目録」「書名目録」「著者名目録」そして「件名目録」。特に、「件名目録」は、学生時代、とても頼りになりました。例えば、件名目録の「鮭」のところには、生物、料理、漁業、小説、エッセイ等、分野を超えたカードが並びます。そのため、「鮭」を多角的に捉えることができ、意外な本に答えを見つけることがあります。件名目録は今のキーワード検索に相当しますから、その便利さ、実感できますよね。
件名目録の存在を知ったのは、学生の頃でした。なんて便利なツールがあるのだろう!と感動しながら、件名目録のケースに足を運びました。今振り返ると、閉架書庫に入れない学生の私には、図書目録は書庫の本に繋がる唯一の糸でしたから、図書目録は頼みの綱で、件名目録は私の強い味方でした。
この目録カードを作る作業と、新しくできたカードをこれまでのカードの列の中に入れる作業は、結構な手間と時間がかかります。どれも地味な作業ですが、人と本を繋ぐ大事な作業です。今は、このような作業を、コンピューターが処理し、インターネットを介して、いつでもどこでも図書検索が可能です。あの図書目録に使うカード紙は、もう作られていないと思っていたら、「まだ現役で活躍中!」と、図書館用品を扱っているキハラ㈱さんから聞きました。小規模の図書館の中には、目録カードが使われているそうです。誰かと本を結ぶ図書目録のカードたち、心の中で「頑張って!」と応援してしまいました。図書館大会のちょっとうれしいニュースです。
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