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【事業承継を考える】第46回「次世代企業経営、DXは必須」情報〝見える化〟の契機に

一般社団法人事業承継協会(東京)の認定資格である事業承継士が、経営者にとって関心が高い事業承継について現状や課題などを解説します。第43回は湊亨さんです。

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業務効率化の観点から情報共有をデジタル化・オンライン化することは、今後ますます重要になる。

「そんなこと言っても、建設業のような歴史ある業界では、仕事のやり方は変えられない」と思っている方も多いかもしれない。だが、仕事の進め方自体を変えなくても、情報共有の方法を見直すことは十分可能だ。

例えば社員のスケジュール管理を例に考えてみよう。紙やエクセルファイルに記入して管理しているケースが多いが、この方法ではいちいち帰社しなければ作成できず漏れが発生しやすい。この際にスケジュール管理をGoogleスプレッドシートで共有すればリアルタイムに誰でも確認できるようになる。出先からスマホやタブレットで気軽に入力ができるほか、閲覧も容易である。おまけに共有設定を適切に行っていれば情報の管理も万全になる。

このようなDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入は、単に業務のデジタル化だけでなく、情報の整理整頓を通じて業務の効率化を図ることが可能となる。

弊社では数年前から車両管理をエクセルファイルで共有していたが、どの社員がどの社用車を使うか曖昧であり、業務中に社用車が足りなくなることがしばしば発生していた。そこでGoogleスプレッドシートを活用し、「いつ・誰が・どの社用車を・何時まで利用するか」を共有することでトラブルが回避できるようになっただけではなく、このデータを分析することで社用車の使用率や最適な台数を検討することができ、無駄な経費を削減することにもつながった。

しかも現場にいながらでもリアルタイムで情報を共有でき、必要な時に即座にデータ確認ができるためタイムリーな対応が可能になるのだ。それでいて運用コストはほとんど掛からないため、導入しない理由はない。

情報の「見える化」で無駄を省くDXは、今後の業務効率化に欠かせないのだが、実は『事業承継のタイミングこそDX化する絶好の機会』である。

事業承継では次世代経営者が新たな価値を生み出す変革が求められる。そのタイミングで情報の「見える化」を通じて無駄な業務や非効率な業務を改善し、会社全体の効率を向上させることができる。これにより、経営の透明性が高まり、社員の働きやすさも向上するだろう。

紙の計画書やFAX、稟議書類などを使用している企業はまだ多い。DXによって無駄を省き、効率を最大化することが、次世代の企業経営において必須となる。今こそ、情報共有を「見える化」して、さらなる業務改善を目指してみてはどうだろうか。


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