腕を磨いて全国技能五輪に挑む、旭川高技専の4選手
11月22日から愛知県で開かれる第62回技能五輪全国大会に北海道立旭川高等技術専門学院から建築大工と家具部門にそれぞれ2人の選手が出場する。北海道内から複数部門に出場するのは17年ぶり。家具の金賞は2003年度以降なく、建築大工は入賞歴がない。選手は全国から集う強者のたちの頂点を目指し、職業訓練指導員の教えを受けて練習に励んでいる。(庄子隼人)
家具部門に挑む楠本、佐藤両選手
今回の全国大会には全道から20人が出場する。うち旭川高等技専の4人を含め上川管内が10人を占めている。
旭川高等技専から家具部門への出場は2年連続。ことしは楠本恭治さん(20)と佐藤稜馬さん(21)が挑む。2日間計11時間で課題図に即して木製家具を製作する。引き出しの動作や寸法、木地表面の出来栄えなどが細かく審査される。
当日は事前公開された課題図に一部設計変更が加えられる。2人を指導する造形デザイン科の澤田貴之先生は「独自に変更した設計図を作り日々作成している」と練習にも工夫している。
上川管内から家具部門に出場する社会人選手との合同練習で、2人の作品が「他の選手に引けを取らない完成度だった」(澤田先生)。練習の手応えを感じた。
楠本さんは「初参加で不安は多いが敢闘賞を目指したい」、佐藤さんは「敢闘賞を目標に諦めず最後まで作り上げる」とそれぞれ意気込みを見せる。
建築大工部門は本間、花原両選手
2年ぶりとなる建築大工部門には本間聖也さん(19)と花原行洋(21)さんが挑む。2日間計12時間で現寸図の作製、部材の木削り、墨付け、加工仕上げ、組み立ての順に取り組む。
課題は「突き出し屋根付き小屋組」。設置する部材の角度がイレギュラーで、通常の木造住宅では見られないような構造だ。2人を指導する建築技術科の今野功康先生は事前公開された課題図を手に「こんな屋根は見たことない」と漏らす。
練習は就活のインターシップが終わった9月上旬から始まった。平日は授業の合間を縫い午後8時まで、土曜日は朝から夕方まで練習に励む。花原さんと本間さんは互いに「技能を共に高める良き相棒」と口をそろえる。向上心と築き上げられた友情が練習のモチベーションにつながっている。
栄冠と理想の技能者目指して全力
時間がかかる原寸図の作製と墨付けを中心に練習。特に原寸図では「正確に速く書き出せることが目標だ」と今野先生は話す。大工の経験を基に指導する。「現場は段取りが一番。手を抜かない大工になってほしい」
2人は来春卒業し、建設会社で大工として就職する。それぞれ幼い頃からものづくりが身近な環境で育ったことが大工を志すきっかけになった。
花原さんは「どこでもやっていける大工になりたい」と将来を見据える。本間さんは「作ることが好き。いい大工になりたい」と自信をのぞかせる。大工の理想像を抱える2人。高度な技能が求められる毎日の練習では苦戦する場面も多い。しかし「今を乗り越えられればどんな大工にもなれる」と今野先生は励ます。
大会まで残りわずか。4人とも栄冠を手にするまで全力を尽くす。
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