重大ニュース2024①ラピダスの半導体工場進出で沸く千歳市、まちづくり一変
ラピダス(東京)進出がもたらした半導体特需で千歳市内のまちづくりが一変した。これまで供給が相次いだ賃貸住宅に加え、ホテルや物流、オフィスと不動産開発は広まりを見せている。市も将来ビジョンをまとめていて、人口10万人超の増加をイメージした街の在り方を模索する。2027年の量産開始を前に、進出を図る企業や人流拡大に対応できるよう準備を急ぐ。
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北海道の経済に影響を及ぼす、さまざまな出来事が起きた2024年をニュースで振り返る。
人流、人口の拡大を見据える千歳
千歳市内の工業団地「千歳美々ワールド」で建設中の次世代半導体工場(画像)は、11月15日時点で進捗率67%に達した。外観がほぼ完成していて今後、屋内で製造装置搬入・設置に取りかかる。
半導体工場がもたらす効果を踏まえ市は、未来のまちづくりを構想する将来ビジョンをまとめている。装置メーカーやサプライチェーンを含む社員らの転入によって、将来の人口推計として2036年には10万2000人への増加を見込む。
JR千歳駅周辺の中心市街地でラピダスやサプライチェーン企業による居住ニーズが高く、共同住宅などの民間開発や投資が活発になると予想。2036年の中心市街地人口は、24年比で約2400人増えると推計した。
千歳市によると、装置メーカー関連や、工場インフラ、物流・倉庫など33社がオフィスなどの立地を確定し、今後も47社が立地検討しているという。
不動産投資、企業立地が活発化
こうした動きに合わせ、JR千歳駅近くでは道内事業者によるオフィスビル計画が目立ち始めた。
不動産管理を展開する杉原商事(千歳)は、千代田町3丁目の店舗ビルを解体し、跡地に1フロア100坪以上(330平方メートル超)の広さを持つ6階建ての事務所ビルとして新築。アトラスグループ(札幌)も千歳駅北口前で土地を取得し、2025年7月末の完成に向けて事業概要を固めている。
一方、ホテル開発も動き出していて、駅周辺では用地取得競争が激しさを増している。これまで駐車場として使われた土地が、高値で取引されるようになった。市内で未進出のホテルチェーンが相次いで出店を計画していて25年は建設ラッシュが予想される。
半導体関連企業の集積を見据えた物流施設の開発に踏み切る企業も多い。日本エスコン(東京)や不動産サービス大手CBRE(東京)は市内の工業団地で大型物流倉庫にことし着工した。半導体工場を施工する鹿島(東京)も事業に乗り出すなど、建設業者を含めた不動産投資が熱を帯びている。
オフィスやホテルなどの本格的な需要について、道内外のデベロッパーは2025年春のパイロット(試作)ライン稼働後とみる。今後、千歳市内でさらなる開発が見込まれるが用地不足が懸念される。受け入れ環境の充実や半導体を軸とした拠点形成が求められる。
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