編集後記・能登半島地震から半年 被災地の今を伝えたい、高橋記者・小山記者
国土交通省は5月16日、道路政策への緊急提言骨子のたたき台を示した。能登半島地震を踏まえたものだ。指摘された巨大地震・津波のリスクは北海道に共通する。能登半島地震の教訓を北海道に伝えよう。これが被災地取材の契機になった。
現地入りしてすぐ、半島付け根の七尾市辺りから地震の爪痕が視界に飛び込んできた。交差点の倉庫が倒壊し、道路脇の斜面は崩れている。思わずレンタカーを止めシャッターを切った。あらためて取材の覚悟を問われた気分になった。
現地だからこそ分かる、聞ける情報の収集を念頭に動いた。「午前は港で漁業者が震災ごみの片付けをしている」との情報を頼りに、輪島港へ。だが漁業者の姿は無く、聞き込みを続けたが戻る気配がない。
取材を続けるため、大火があった輪島朝市に向かった。そこには見慣れぬ装備の交通誘導員がいた。「漁に出られないため男性が力仕事に行き、奥さんら女性は警備の仕事をもらっているのではないか」―。そう考え声を掛けると予想通りだ。漁業者の苦しい現状や見通しを、肉声で知ることができた。
被害が大きかった市街地中心部は、半年が経過した今も倒壊した瓦屋根の家屋がそのままだ。幹線道路には大きな亀裂が残り、ひび割れにポールが突き刺さっている所もあった。復旧までの道のりの険しさを肌で感じた。
人口流出の加速や地元に仕事がないことなど、能登に生きる人々の問題を痛感した。地方が復興することの困難さに息が詰まった。こうした現実が少しでも伝わることを願う。(高橋秀一朗、小山龍)
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