重大ニュース2024③帯広、函館ー道内地方都市の再開発に着工の兆し
建築費高騰で計画の見直しを迫られてきた地方都市の再開発にようやく着工の兆しが見え始めた。帯広の旧藤丸百貨店(画像)や函館の旧棒二森屋店は2025年にも解体に着手。複合施設へ生まれ変わる。一方で採算性の見極めや施工体制の確保は依然として難しく、見通しが不透明なものもある。
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北海道の経済に影響を及ぼす、さまざまな出来事が起きた2024年をニュースで振り返る。
費用高騰に試行錯誤の計画修正
旧藤丸百貨店は10月に事業者が建て替えを表明。昨夏、早期開業に向けて建て替えから改修に変更したが、事業費が想定の5割増となり、再度切り替えた。ホテルやマンションなどが入る複合商業施設を構想し、2025年夏から解体に取り掛かり、27年夏に新築着工。30年の開業を見込む。
旧長崎屋帯広店跡でもマンションやホテル、商業施設からなる再開発を構想する。解体完了予定の2025年9月以降に順次着工する計画。帯広市内各所で槌音(つちおと)が響き始めそうだ。
計画の修正を繰り返してきたJR函館駅前の旧棒二森屋店再開発は、ようやく一定の結論が出た。高騰する建築費への対応として、ホテルは運営事業者自身で整備する特定建築者制度を導入し、コストを分担することで決着。分譲マンション、ホテル、商業・公共公益施設の3棟構成で、総延べ床面積3万8240平方メートルという規模となった。2025年11月にも解体を始め、29年春の開業を目指す。
道内地方都市の再開発は、試行錯誤しながらも着実に前進している。地元経済界の団結や第1種市街地再開発のような官民連携の力によるところが大きい。
北見市中心部の第1種市街地再開発も資材価格高騰の余波を乗り越えた経緯がある。本格着工前の2023年に総事業費が約13億円膨らんだが、デベロッパーと市、国が適切に費用負担することで着工に至った。
水面下の採算見極め、一進一退
一方で旭川市は、再開発構想が浮かんでは消えてを繰り返している。大和ハウス工業(大阪)による市内初のタワーマンション開発を機に、最近まで他のマンションデベロッパーが触手を伸ばしていたが、採算を見込めずに次々と手を引いている。
旭川市は国の優良建築物等整備補助で支援しているが、介入は限定的。公金依存の割合が低いという評価もできるが、民間頼みの側面も否めない。建設事業を取り巻く厳しい情勢の中、デベロッパーは足踏みしている。
懸案は市内中心部で2年間放置されている旧マルカツデパートだ。来夏には近隣のファッションビル・オクノも閉館する。マルカツは競売準備が進み、オクノも売却先を模索するなど水面下の動きはある。地域を巻き込んだ再開発につながるかが焦点となっている。
近年の地方都市は大型商業施設の閉店に苦しんできたが、同時に再開発のチャンスも得た。商業だけに頼らない、ホテルやマンションとの複合化といった活路も見えている。逆風をはねのける新たなランドマークが待たれる。
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