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【おとなの養生訓 當瀬規嗣】第288回 タンパク質の摂取増で老化遅らせよう

タンパク質は体をつくる極めて重要な栄養素です。最近、100歳を超える長寿の方々が、共通してお肉を毎日食べているという調査結果が発表になり、お肉の主な成分であるタンパク質がにわかに注目を集めました。お肉は脂肪分も多いので、カロリーが多すぎる、太る、などのイメージが先行して、むしろ不健康な食べ物とみられていたので、驚きの調査結果となりました。では、お肉を食べることにどういう利点があるのでしょうか?

まず、タンパク質は筋肉、皮膚、骨など体の構造をつくる土台となる栄養素です。ヒトの体はタンパク質でできているといっても過言ではありません。食べ物から取り入れたタンパク質は、ヒトの体のタンパク質として作り直されて使われます。

このタンパク質を作る仕組みは、加齢に伴って弱くなることが分かっています。これが体のさまざまな老化現象の原因となっていると考えられます。老化自体を防ぐことはできなくても、遅らせることはできるかもしれません。タンパク質を作る仕組みが衰えても、材料となるタンパク質の供給が増えれば、補える可能性が十分あると思われます。100歳越えの先輩たちの食習慣は、そのことを示唆しているのです。

というわけで、お年寄りこそお肉!と言われ始めました。いいや、お年寄りだけでなく中年ぐらいからも、体を整えて老化を遅らせる意味で、タンパク質をより積極的に取るべきでしょう。普段の食事でも肥満や糖尿病の原因となる糖質は減らして、その分タンパク質を食べるという方法もあります。具体的には、ごはんは控えめにして、その分、お肉を増やすという考え方です。

タンパク質を多く取れるという意味で、豆腐、納豆、豆乳などの材料である大豆の摂取が推奨されています。ただ、大豆はあくまで植物なので、ヒトのタンパク質を作るには、少しバランスが悪いことが指摘されています。大豆だけでなく、適量のお肉や乳製品を加えると、いわゆる動物性タンパク質が取れて、やはり動物であるヒトのタンパク質を効率よく作ることができるでしょう。

この頃、おなかが大きくなって、肥満や糖尿病が気になっているのなら、低糖質、高タンパクの食事に切り替えましょう。ただ食事量を減らすのと違い、物足りなさは感じませんよ。

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當瀬規嗣(とうせ・のりつぐ)
札幌医大名誉教授、北海道文教大人間科学部健康栄養学科教授。生理学を研究する傍ら、テレビ・ラジオなどのメディアにも出演している。北海道建設新聞掲載のコラム「おとなの養生訓」では、現代のビジネスマンに欠かせない「健康」に関する情報をわかりやすく解説している。


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