【新年特集2025】全国に届け釧根の生乳/高いブランド力と品質へのこだわり
釧根管内は日本有数の酪農地帯だ。複数の大手乳業メーカーが工場を構え、そこで加工した商品は全国各地へ配送され、食卓に並ぶ。当たり前の光景を支えているのは、農協組合員や関係者による努力と丁寧な仕事だ。別海町は50年前から生乳加工工場を所有し、製品の加工・販売を通じて酪農の魅力を発信。JA浜中町の品質管理へのこだわりは企業誘致の呼び水となった。それぞれの歴史や強み、今後の可能性を探った。
別海町 町営ミルクプラントが原点
地元で味わい、愛してこそ
地元の牛乳を飲めるように…。1974年、別海町は直営のミルクプラントを設立する。当時、町内の大手乳業メーカーは、全国に出荷するチーズやバターなど加工製品に注力し、町民が地元の牛乳を口にする機会はなかった。
べつかい乳業興社の西條武利営業推進部長は「生乳生産日本一の町である以上、地元の牛乳を地元のみんなで飲めるようにしたかった。半世紀も前から、町には地産地消の思いがあった」と話す。
2001年には別海町と地元5農協(現在は3農協)が出資して株式会社化し、第三セクター方式で運営するべつかい乳業興社が誕生した。翌年に新たな酪農工場が稼働開始する。
一つの工場で牛乳、チーズ、バター、アイスクリームを作っているのは道内唯一。パンやハンバーグ作りをできる農漁村加工施設、チーズをメインとした乳製品加工体験施設を併設し、町民からも愛されている。
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