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【おとなの養生訓 當瀬規嗣】第294回 乾燥肌・熱い長風呂は潤いの大敵

冬は空気が乾燥しやすくなります。北海道は雪がたくさん降り積もるのですが、雪は解けずに、地面からの水蒸気の蒸発が抑えられるので、やはり空気が乾燥しやすくなります。加えて、室内では暖房を使うため、湿度は著しく低下します。乾燥した空気に日々さらされると、皮膚から水分がどんどん失われます。皮膚表面ががさついて、ハリがなくなり、進行すると表面が剥がれて粉っぽくなります。これを乾燥肌と呼びます。

乾燥肌は美容の面で問題になりやすいのですが、それだけでなく、皮膚のバリア機能が低下するという問題を引き起こします。皮膚のバリア機能とは、皮膚が体全体を覆って、水分の喪失を防ぎ、異物や病原体、有害物質が体内に入らないように阻止する働きのことです。

皮膚の水分が減ると、バリア機能は低下し、異物や菌の侵入によって湿疹やアレルギー性皮膚炎などの病気が起こってしまいます。やはり、肌の乾燥は防ぐべきで、乾燥肌となったらケアが必要なのです。

まず、室内の乾燥を防ぐために、加湿器の活用は大事です。冬季のかぜウイルス、インフルエンザ、コロナウイルスなども乾燥した空気で活発化すると指摘されていますので、加湿は重要です。かといって必要以上に加湿すると、室内にカビや雑菌が繁殖するチャンスを与えてしまうので、50%程度の湿度を維持するように気を配ります。

また、保湿クリームなどを1日に2回、肌が露出した場所に塗ることもいいでしょう。ヒルドイドという成分が、保湿効果が高いといわれています。安価なワセリンでも乾燥防止には有効と考えます。

気を付けなければならないのは、入浴です。お湯を浴びて皮膚は十分潤っているように感じるのですが、湯上がりに皮膚は急速に乾燥することが分かっています。特に長湯をすると、乾燥が進むとされます。長湯はバリア機能を低下させ、皮膚から水分が余計に失われるからなのです。お湯の温度が42度以上の場合も同じようにバリア機能を低下させます。熱いお風呂に長く漬かることは禁物です。

適切な入浴時間は10分未満、40度程度のややぬるめのお湯です。また、湯上がりにバスタオルでごしごしするのも、皮膚を傷め、バリア機能が低下します。タオルに水分を吸わせる感じにとどめましょう。

當瀬規嗣(とうせ・のりつぐ)
札幌医大名誉教授、北海道文教大人間科学部健康栄養学科教授。生理学を研究する傍ら、テレビ・ラジオなどのメディアにも出演している。北海道建設新聞掲載のコラム「おとなの養生訓」では、現代のビジネスマンに欠かせない「健康」に関する情報をわかりやすく解説している。


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