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能登半島を襲う二重災害/豪雨で地震被害が再び被災、被災地の現状をルポ

北陸地方が9月、再び被害を受けた。能登半島豪雨(奥能登豪雨)だ。河川氾濫と道路や建物への冠水、土砂崩壊などの被害に加え、元日の地震による社会インフラ被害が拡大する「増破」が多数発生。本復旧・復興への道のりは険しさを増した。(高橋秀一朗、小山龍)

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北海道には日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による被害リスクが付きまとい、気候変動による降水量・洪水頻度増への影響は本州よりも高い。自然災害が重なる想像は道民の背筋を凍らせる。被災地・能登半島で二重災害からの復旧に対応する関係者に現状と展望を聞いた。


復興妨げる豪雨のインフラ「増破」

珠洲市の奥地傷痕生々しく

珠洲市役所前を通る国道249号を経由し、県道を使って日本海沿岸部へ北上。9月の豪雨で甚大な被害があった珠洲市大谷地区を目指した。

道中、地滑り斜面が次々と視界に飛び込む。その引き金は地震か豪雨か、災害の傷跡が重なり合って判別が付かない。路上に残る土砂流出の泥や砕石、電線に引っ掛かっているの樹木、橋梁に絡まる流木などが豪雨の激しさを物語っていた。

大谷地区での土砂崩れ。家屋を飲み込んだ土砂が大量に残る(12月2日午後3時ごろ)

やがて大谷地区に到着したが、土砂崩れにより珠洲大谷川左岸の県道は途絶。右岸側の真新しい舗装の道に切り替えて進んだ。電子地図には表示されない車1台分ほどの道。国が右岸に緊急整備した迂回路だった。

土砂に埋もれる家屋が目の前に広がった。応急復旧を進めているとみられるダンプトラックが往来する。川の脇では複数のショベルカーが応急復旧に従事していた。豪雨から2カ月余り。地域の傷痕は熱を帯びたままだ。

全幹線道路の復旧急がれる

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