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【おとなの養生訓 當瀬規嗣】第295回 技術革新で新テープ開発
ケガをすると、ばんそう膏を貼ります。中心にメッシュがあり、それで傷口を覆うように貼り付けます。テープに小さな穴が開いていて、通気性を保っています。ばんそう膏には、傷口を保護して外から雑菌や異物などの侵入を防ぐことと並んで、傷口から出る浸出液を吸い取って、乾燥させるという目的がありました。傷口が湿っていると清潔が保てなくて、雑菌の繁殖を許すという考え方に基づくものです。昔は包帯を巻いたりもしましたが、これも同じ目的だったので、包帯は定期的に取り換えるのが常でした。
一方で、傷の治癒は浸出液を傷口にとどめて、傷の周りを密閉する方法の方が、治りが早く、傷跡も残りにくいということが分かってきました。浸出液の中には傷口を修復するための成分や細胞がたくさん含まれているので、これを乾燥させるのはその効果を少なくすると考えるようになったからです。
そこで、脱脂綿や包帯の上からビニールラップで覆って密閉する方法が考案されていたのですが、この方法で清潔を保つためには、病院での処置が必要で、通常の小さなケガでは適用できないでいました。
最近、技術革新があって、樹脂製のテープの中心に、浸出液を吸ってそこにとどめることができるゲルを塗るという、新しいテープが開発されました。このテープを傷口に貼ると、それだけで密閉されます。そして傷口から出る浸出液がゲルによって保持され、常に浸出液が存在するので急速に傷口がふさがります。解放されていないのが奏功して、痛みもほとんど感じなくなります。きわめて素晴らしい効果です。
しかしながら、もし、傷口が泥などで汚染されていたら、そのままでテープをすると雑菌を一緒に閉じ込めることになるので、化膿する危険性があります。テープを使う前には傷口を清潔にする必要があります。
ただ、消毒液は浸出液内の細胞に悪影響を与える危険性があるため、消毒液は使うべきではありません。傷口は水道水の流水で洗うのが一番です。水道水には消毒のために塩素が含まれていますが、これは悪影響を及ぼさないことが分かっているからです。
ケガをしたら、なるべく指で触ったりしないで、水道水で洗い流し、清潔なティッシュで周りの水分だけ吸い取りましょう。その後テープを隙間ができないように貼り付けて終わりです。4、5日は取り換えないで、そのままで大丈夫です。
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