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【新年特集2025・第5部】北海道道縦自動車道・オオヌマトンネル

ミッシングリンク解消へ、本坑掘削着々

北海道南部の高速ネットワーク構築を目指し、北海道縦貫自動車道の七飯―大沼間に新設するオオヌマトンネルの本坑掘削が着々と進む。西大沼工区の初弾は工事最終年を迎え、完了まで残り8カ月余りとなった。高速道路のミッシングリンク解消は地域の悲願。管内の経済活性化や円滑な医療支援、観光振興に向け、期待は日に日に高まっている。(画像は西大沼工区、函館開発建設部提供)

道内最長のトンネルへ

道縦貫道は函館市を起点に稚内市までを結ぶ延長約681キロの高規格自動車道。うち七飯―大沼間約10キロの整備には事業費約1004億円を投じ、函館開建が担っている。

区間の大部分を占めるオオヌマトンネルは、七飯町西大沼地区の蓴菜沼付近から仁山地区の国道5号付近までを結ぶ。本坑は延長約7キロで、完成すれば自動車専用道路のトンネルとしては北海道内最長となる見込みだ。初弾工は9月中旬までを工期とし、大成建設・伊藤組土建・齊藤建設共同体で進めている。

オオヌマトンネルのルート上には火山砕屑(さいさつ)岩類や溶岩類が数多く分布し、複雑で軟弱な地質。建設地付近にJR函館本線が走ることから、影響が出ないよう細心の注意を払う必要もある。そのため、本坑掘削に向けて約1年にわたる綿密な調査を経て着工した。

地域特産品の輸送ルートに

北海道南部は松前町のマグロ、知内町のニラ、木古内町の和牛などがそろう食材の宝庫。安定供給には安全で迅速に輸送できるルートの確保が欠かせないが、国道5号は急勾配や急カーブが多く、混雑が常態化している。死傷事故が少なくないなど、課題は多い。

これら課題を解決に導くのが七飯―大沼間の開通だ。カーブが急であるといった危険箇所が減る。函館―札幌間の所要時間は夏季で4分、冬季で5分短くなり、速達性に磨きがかかる。

災害対応や医療面でも効果が期待できる。駒ケ岳が噴火した場合、国道5号や278号の通行止めに伴う大規模な迂回を避ける代替道としての役割を果たす。救命救急活動や緊急物資支援など、復旧・復興に貢献するルートになる。

近年では、2021年に函館新外環状道路の赤川―函館空港間、2022年に函館江差自動車道茂辺地木古内道路北斗茂辺地―木古内間が開通し、利便性が高まってきた道南。地域全体を結ぶ道路網の整備が地域活性化の鍵を握る。

新年特集2025・第5部


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