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ラピダス新工場の今、最盛期迎える建設工事と周辺に広がる関連産業集積

2023年9月に千歳市の工業団地「千歳美々ワールド」で本格着工したラピダスの次世代半導体工場1棟目となる「IIM-1(イームワン)」。長い冬が終わり、高く張り巡らされた仮囲いから巨大な構造物が姿を現した。2025年4月の試作ライン稼働に向けて工事は最盛期を迎える。(ラピダス取材班)


急ピッチで進む工場建設、鹿島が設計、施工

ラピダスが北海道に示したIIM-1の建築面積は約5万7000平方メートル。札幌ドームとほぼ同じ大きさだ。地上4階、高さ約31メートル、付属施設を含む延べ床面積は約19万8000平方メートルに及ぶ。

設計施工は台湾積体電路製造(TSMC)熊本工場も手掛けた鹿島。北海道内のゼネコン数社が付属施設などで協力する。

構造が姿を現した半導体工場IIM-1、4月26日撮影

齋藤健経産相は5月19日、就任後初めて千歳市を訪れてIIM-1建設工事の進捗を視察した。視察後、記者団に対し「工事が順調に進んでいることを確認した。(着工から)わずか8カ月で急速に進んでいることに驚いた」と述べた。

鹿島によると、5月7日時点の進捗状況は全体の約26%。2024年末には建物のほぼ半分が完成し、2025年11月には同社が担当する全工程を終える計画だ。

最盛期迎える施工現場、最大4500人従事

鹿島の高野貢一統括所長は「一番苦労した点は早朝からの除雪に加え、コンクリートの品質を確保するために作業エリアを仮設の屋根やシートで囲ったこと。温風ヒーターによる24時間体制の温度管理も大変だった」と厳しかった冬場の作業を振り返る。コンクリートの硬化を早めるため、仮設テントの室温を約5度に維持。積雪寒冷地の北海道でTSMC熊本工場建設と変わらない作業効率を実現した。

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