能登半島地震の津波到達早く 北大大学院の渡部教授が分析
1月1日に起こった能登半島地震。日本海沿岸の活断層を起因とし、これによる津波は発生から陸地への到達が早いのが特徴だった。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が発生した場合、北海道への津波はどうなるのか。能登半島地震を教訓に北海道が備えるべきことを、海岸工学を専門とする北大大学院工学研究院の渡部靖憲教授に聞いた。
-能登半島地震による津波の特徴は?
日本海側の沿岸には活断層が数多くあり、今回の地震はこのうちの能登半島近海部にあるものが引き起こした。これら日本海側の活断層はいつ誕生したのか正確には分かっておらず、地震の発生予測は専門の学識者でも困難だ。
今回の地震は震源が浅く、活断層の滑りも大きくなかったことから、津波は比較的小さいものになった。
能登半島での津波は立て続けに生じたが、第1波は沖から来る。この波が陸に当たり、第2波となって隣町などに向かう。能登半島が湾を形成しているため、その中で増幅し、何波も発生した。津波警報が続いたのはこのためだ。
-日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が発生した場合、北海道への津波はどのようになると考えられるか?
東日本大震災の大津波のイメージが強く、現在の日本海溝・千島海溝地震に関する改正特別措置法による対策は、大津波のような未曽有の事態に備えて人命を最優先するという政府の考えに基づく。私も同意見とするところだ。
ただ、津波はゆっくりと上がり、ゆっくりと下がるものがほとんど。プレート境界間による津波でも、部分的な変位であれば大きくはならない。だが、たとえ日本海側でも活断層が連動すれば、津波は大きくなる。危機意識が必要だ。
北海道は歴史が浅く、本州以南のような過去の津波被害の記録がない。開拓も大津波がくる可能性を想定せず進められた。ハード整備も遅れていて、脆弱(ぜいじゃく)性が課題になっている。財政的にも厳しい自治体は多く、ソフト対策も求められる。
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