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検証 北海道開発事業費 25年度概算要求/期待される役割と開発の必要性

北海道開発事業費の2025年度概算要求額は国費ベースで6734億円となり、前年度当初比20%増を確保した。各省庁による予算編成作業が進む中で、前年度当初以上の予算を獲得できるかが今後の焦点となる。秋以降の政局がどのような状況になろうとも北海道開発の必要性は変わらない。2025年度概算要求をあらためて検証し、予算執行の効果を見通す。(高橋秀一朗)


2割増要望、役割発揮へ期待の表れ

国土交通省北海道局には『2025年度概算要求の要望額が前年度当初比2割増(国費ベース)となったのは、第9期道総合開発計画の策定があったことが大きい』との見方がある。

概算要求基準に沿って前年度当初比2割増の上限(シーリング)いっぱいを要求しても、事務的経費などの兼ね合いから18―19%の増加に収まるのが過去の通例だった。

変化が生じたのは2022年度概算要求時だ。国費ベースで前年度当初比21.1%増の6780億円を要望額とした。少なくとも過去20年間で2割超はなかった。

北海道開発事業費概算要求額 過去10カ年の推移

2020年10月、菅義偉元首相は所信表明演説で「カーボンニュートラル2050」達成に言及。2022年度概算要求基準の特別枠にはグリーン、デジタルなどの関連予算が充てられた。脱炭素、再生可能エネルギー導入に関する北海道への期待が2割増の一端を担った。

この流れは続く。2021年秋、新型コロナウイルスの影響やカーボンニュートラル2050の台頭に対応するため、北海道局は第9期計画の策定作業を前倒しで開始。計画骨子に再生可能エネルギーの要素を付加することなどを足早に決めた。

食料、半導体、再エネなど高まる期待

2022年2月にロシアのウクライナ侵攻、23年2月にはラピダス(東京)の千歳市への新工場建設表明があった。世界、北海道の劇的な情勢変化により、食料安全保障、次世代半導体製造、再生可能エネルギーの生産拠点としての期待が高じた。こうした情勢変化を踏まえ、第9期計画が24年3月に閣議決定。4月からこれに沿った北海道開発が始まった。

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