見出し画像

重大ニュース2024②GX金融・資産運用特区が始動/成長産業の集積へ

北海道と札幌市は6月、国からGX金融・資産運用特区に指定された。国への提案や要望活動が実を結んだ。金融業・グリーントランスフォーメーション(GX)産業の集積を目指す。この半年間で国と地域それぞれの施策が動き始めた。(画像は1月、当時の井林辰憲内閣府副大臣に提案書を手渡す秋元克広札幌市長)

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

北海道の経済に影響を及ぼす、さまざまな出来事が起きた2024年をニュースで振り返る。


銀行出資緩和、行政の英語対応

国内外の金融・資産運用業者を集積させ、地域の成長産業が発展できる環境整備を図る。GX特区には法律や制度上の裏付けがないため、6月に指定された国家戦略特区の枠組みで実効性を持たせる。決定に併せて公表された政策パッケージでは、国と地域の各者が目指す多様な取り組みが盛り込まれた。

北海道国家戦略特別区域会議(事務局・内閣府)は12月10日、特区関連の取り組みを盛り込んだ区域計画を決定した。2024年内に総理大臣の認定を受ける見通しだ。

計画の内容を見ると、銀行によるGX関連事業への出資に関連し、5%超50%以下の出資であれば金融庁の認可不要として事後の届け出で可能とする。北洋銀行、北海道銀行が2025年から取り組む。

行政手続きの英語対応は、札幌市が2024年度内の実施を見込む。法人設立登記などの申請を英語で完結させられる環境を整備する。法務省が提供する登記申請書などの作成支援ツールを活用し、海外企業の国内進出を促す狙いだ。10月からは海外企業受け入れワンストップ窓口をさっぽろ産業振興財団と共同で開設。札幌進出を検討する企業にビジネスから生活環境まで英語で無償支援する。

地方税優遇、GX認証制度始動へ

区域計画以外にも取り組みは進む。道と市は2025年度から地方税の税制優遇を始める計画だ。洋上風力関連やデータセンター(DC)などGX分野が対象で、優遇期間は10年間。法人道民税や法人事業税、法人市民税などを1―5年目は最大で全額、6年目以降は2分の1を減免する。12月にそれぞれの議会が条例案を可決した。

産官学金コンソーシアムのチーム札幌・北海道は2025年度にGX事業認証制度の運用開始を目指している。洋上風力や水素など8つの重点分野を中心に国際的な環境基準に基づく制度を構築し、投資家からの資金調達をしやすくする。2024年度内に数分野で先行して評価指針をまとめる。

石狩湾新港沖合の洋上風力発電風車群

圧縮水素貯蔵量上限の規制緩和に向けて道と市は、2025年度にも実証実験に取り組む。安全性の確認や運用の課題などを検証する。

秋元克広札幌市長は12月の定例市議会代表質問で「再生可能エネルギーのポテンシャルを生かしてGX産業の供給網構築、雇用創出につなげるには、GXの意義やメリットについて市内事業者などの理解を深め、参画を促すことが極めて重要」と強調した。地元企業への経済効果波及を促す施策のさらなる展開が待たれる。


©2024 The Hokkaido Construction News Co.,Ltd.