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【新年特集2025】特色生かし観光客を/リニューアル相次ぐ空知の温泉施設

空知管内で特色ある温泉施設が相次ぎ誕生している。妹背牛温泉ペペル(妹背牛町)と月形温泉ゆりかご(月形町)は2024年の改修を経てリニューアルオープン。特長を生かした観光客誘致を進め、特産品販売など地域全体の盛り上がりにつながっている。赤平市や南幌町では改修準備中だ。リニューアルでさらなる観光需要を取り込み、管内全体の経済波及効果に期待が高まる。

空知総合振興局は「そらち温泉マップ」を管内の各道の駅などに配布している。札幌や旭川といった大都市圏に隣接する優位性を生かした日帰り観光の推進。割引クーポンを掲載して来館者増加につなげる。


妹背牛温泉ペペル(妹背牛町)

レタラの湯(左)、クンネの湯(中央)、バレルサウナ(右)(いずれも妹背牛振興公社提供)

妹背牛温泉ペペルは2024年4月に営業を再開した。北空知地域では初となる樽(たる)型のバレルサウナを設置するなど、サウナ好きにはたまらない日帰り温泉施設だ。

アイヌ民族語で白色を意味する「レタラの湯」には、勢いよくお湯が噴射して腰へのマッサージ効果があるジェットバスや電気風呂を備える。黒色を意味する「クンネの湯」にはお風呂の底から細かい泡が湧き上がるバイブラバスがある。いずれも男女入れ替え制で、さまざまな入浴を楽しめる。

それぞれの浴室にあるサウナには10分間隔で水が噴射されるオートロウリュ機能があるサウナストーブを設置。約90度の温度設定で、週末には町内外から来る若い入浴客に人気だ。

露天風呂周辺にある樽型のバレルサウナは約80度の温度設定で、サウナをゆっくりと楽しむことができる。自身で水をサウナストーブに投入するセルフロウリュができるのも大きな特長だ。

施設内では妹背牛産のコメを獲得できるクレーンゲームがあり、オリジナルデザインのサウナ向けタオルを販売している。運営する妹背牛振興公社(妹背牛)の上川秀樹支配人は「町外からの交流人口が増えた。サウナに入ってぜひ体の内から整う体験をしてほしい」と話す。

所在地:妹背牛町妹背牛5208の1
規 模:S一部RC造、平屋一部2階、延べ1992平方メートル

月形温泉ゆりかご(月形町)

月形町の道の駅「275つきがた」に併設する月形温泉ゆりかごは2024年9月にリニューアルオープン。塩化物泉のため優しい肌触りだ。神経痛、関節痛、冷え症などに効果がある。美肌作用もあり女性客から好評だ。

レストランには月形高校と共同開発したメニューがそろう。名物の月形まんまるトマトジュースを使用した「まんまるパスタ」、町内生産の「まんまる納豆」で規格外になった大豆を有効利用した「黒蜜きなこアイス」など、アイデアが詰まっている。

2024年9月にリニューアルオープンした月形温泉ゆりかご

運営する月形町振興公社の村瀬潤一専務取締役は「原価率の計算など販売を前提に打ち合わせた。一過性ではなく、運営も生徒たちの学びにつながってほしい」と話す。

テーブルや椅子は、道産木材を用いて月形刑務所で製作された作業品を使用。売店では所内で製作された皿などを販売する。

町のふるさと納税返礼品であるANA(東京)とのコラボ商品、アップサイクルキャリーオンバッグを展示。ANAの地上スタッフが使用した作業着をリメークしたバッグで、旅行に使うことを意識して作られている。

デザインは月形高校が担当。ふるさと納税とアップサイクルについて学んだ上で、機能性や月形らしさを盛り込み20種類の企画書を作成して完成させた。解体、型取り、縫製全てを刑務作業で担っている。制服からパーツを取り、一つ一つ丁寧に手作業で仕上げている。

ANAとのコラボ商品であるアップサイクルキャリーオンバッグ

村瀬専務取締役は「町外からの日帰り観光客が増加した。まちの魅力をもっと知ってもらえるよう、高校生とのコラボメニューや新商品開発も続けたい」話す。

所在地:月形町北農場81の10
規 模:RC一部S造、2階、延べ1345平方メートル)

なんぽろ温泉ハート&ハート(南幌町)

南幌町はなんぽろ温泉ハート&ハートを大規模改修する。施設は1991年建設の本館と93年建設の新館で構成。露天風呂やオートロウリュを新設したサウナが売り物だ。事業費約10億円を投じ、2023年度に配管設備などを更新し、24年度に建物と機械設備をそれぞれ改修。1月上旬のリニューアルオープンを予定する。

改修を進めるなんぽろ温泉ハート&ハート

日帰り温泉としても人気が高く、町の指定管理者としてアンビックス(札幌)が施設を運営している。

本館で露天風呂を新設して脱衣室を拡張。2階の客室は和室を全て洋室化するほか、6室のうち1室を2室にして計7室とする。レストランは改修し、隣接する休憩室を低床化して使う。新館の1階のゲームコーナーや物品庫を改修して休憩室を設ける。

新館のサウナ・ラドン泉は露天風呂を撤去し、サウナ施設として外気浴ができる空間を提供。ラドン泉は水風呂にする予定だ。2階の客室16室の各部屋に内窓を設置。和室5室を洋室化し、1室にはシャワールームを設ける。

残る和室11室は畳を張り替え、和室の大部屋2室には防音壁を施す。宴会場に隣接して喫煙所を設置する。屋上防水のほか、老朽化している外壁の一部を改修。エレベーター1基を更新、共用トイレの和式を洋式化する。

所在地:南幌町南9線西15
規 模:本館S・RC・W造、2階、延べ1728平方メートル
    新館S造、2階、延べ2911平方メートル

エルム高原温泉ゆったり(赤平市)

赤平市はエルム高原温泉ゆったりの改修を検討している。2025年度に実施設計を予定。26年度に一般競争入札で工事発注を見込む。

1995年の完成。指定管理者の赤平振興公社(赤平)が運営している。検討に当たっては、市が2022年に道内の温泉施設を視察。畠山渉市長は「サウナや露天風呂の改修をして特徴的な施設にしたい」と意気込む。

改修を検討するエルム高原温泉ゆったり

所在地:赤平市幌岡町377の1
規 模:RC造、2階、延べ1748平方メートル


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