【行政書士池田玲菜の見た世界】第49回/「マミートラック」育児課題解決へ意識変革を
「マミートラック」という言葉をご存じでしょうか。女性社員が産休や育休から復帰した際に、担当業務や勤務時間が変更され、その後のキャリア形成が阻害されることを言います。
子供を持つ夫婦のなかの共働き世帯の比率は急速に増加しています。
学校や保育園の行事への参加、子供の病気への対応といった平日日中に発生するイベントへは、本来、父親、母親の双方が協力して対応するものです。しかし、実際は母親側の負担が多くなる傾向が強いでしょう。
マミートラックが生じる理由の一つとして、職場における女性に対するバイアスが上げられます。「女性は育児を優先すべきだ」だから「残業のない部署がよい」といった思い込みにより、女性が容易な業務の部署に配置転換されるというものです。
一般的には、子育て中の女性が働くための環境整備を行いましょうという解決策が提示されます。
このような話題に触れるたびに、母親側の会社のみではなく、父親側の会社も意識を変えれば、より解決は近づくだろうと思います。女性に生じる課題を女性のみが解決するのではなく、男性も巻き込んで解決すべきだということです。
子供の病気に際し、病院に連れていくために会社に遅刻したり、お迎えに対応するために早退をする父親がいれば、その会社では、子育ては母親のみが負担するものというバイアスが薄れていくことでしょう。
母親側の会社でも、子供の病気に父親が対応していることを知れば、「育児は女性のみのもの」というバイアスが減少していくと思います。
翻ってわが家の事例をご紹介いたします。わが家も子育て中の共働き世帯ですが、子育てと仕事の両立は難しいものだと実感しています。
予定の決まっている学校行事には時間の融通がききやすい私が対応することが多いです。一方、病気に対しては、私や夫が業務の状況を見ながら、難しいときは私の両親にお願いして対応しています。
業務の状況によっては、夜間や週末の打ち合わせもあります。夜間や週末に書類作成をしていることもあります。私が仕事をしている間は夫が家事と育児をしています。
夜間や週末に打ち合わせをしていると、子供はどのように過ごしているのかと聞かれることも多いです。心配していただくより、日中の打ち合わせを希望しますが、なかなかそうもいきません。夫が対応していると回答すると、夫と夫が働く会社に対して、育児に積極的であると評判が上がります。
仕事と子育ての両立は難しいですが、子育てへの対応が、父親、母親を問わずキャリア形成の妨げとならない世の中になることを願っています。
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