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【透視図】中国が台湾周辺で大規模演習

戦争は正式な手順に則った作戦行動だけでなく、現場の疑心暗鬼や謀略が開戦の火ぶたを切る例が少なくない。それだけに後でどれだけ経過を検証しても、真相にたどり着けない場合もある▼日中戦争のきっかけになったとされる1937年の盧溝橋事件も、その一つだろう。日本軍の夜間演習中に実弾が撃ち込まれ、兵士が一人行方不明になったことで中国軍の攻撃があったと判断。小競り合いが始まったのだった。

途中何度も和平の動きがあったものの、各地で衝突は止まず、ついには全面戦争に突入した。最初の実弾を誰が撃ったのか、どんな性格の発射だったのかはいまだに分からないまま。火薬庫では小さな火も爆発につながる危険があることを教える▼中国軍が14日、またも台湾周辺で軍事演習を強行した。今回は台湾をほぼ取り囲むような大規模な作戦で、港の封鎖や主要施設を攻撃する訓練を実施。これまでで最も多い戦闘機など軍用機に加え、空母「遼寧」も出動する力の入れようだったそうだ。

中国の思惑が説明通り訓練にあるのか、台湾への脅しや米国へのけん制にあるのかは置くとしても、極めて危ない行動である事実に変わりはない。台湾の予期せぬ反応、または台湾の攻撃と誤認させる中国の仕掛けがあれば、演習は容易に本番に変わる。偶発的事態も危険は同じ▼もし「実弾」をきっかけとし、中国が台湾侵攻を開始するようなら、どう取り繕おうともやっていることは、ウクライナを侵略して暴虐の限りを尽くすロシアと変わらない。ロシアを手本にしたいわけでもあるまいに。


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透視図

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