年頭所感2025/北海道の行政関係者・建設業団体代表者
GX・DX産業の集積目指して
北海道知事 鈴木 直道
新年明けましておめでとうございます。皆様とともに新たな年を迎えられたことを、大変うれしく思います。
昨年を振り返りますと、能登半島地震や各地での大雨など全国で大規模災害が相次ぎ、宮崎県沖で起きた地震では、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。また、秋には、道内の農場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、防疫対策に取り組むとともに、物価の高騰による影響が長期化しており、本道経済の活性化を図るなど、道民の皆様の命と暮らしを守る思いを一層強くする年となりました。
こうした中、本道のさらなる飛躍に向けた歩みが着実に進みました。国家プロジェクトである次世代半導体の製造拠点ではEUV露光装置が搬入され、着実に整備が進むとともに、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」が国に認められ、国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを有する北海道が、国内外から一層注目されようとしています。私自身、ニューヨーク州を訪問し、州政府関係機関と連携の枠組みを構築したところであり、先進地の知見も活かしてGX・DX産業の集積を目指します。
また、念願が叶い「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生しました。多様な生態系が残る自然は世界に誇る財産であり、ヒグマとのあつれきの低減を図りながら、豊かな自然を守り、その魅力を広く発信してまいります。
観光入込客数がコロナ禍前の水準を回復しつつある中、本道経済の発展に資する観光振興が図られるよう、宿泊税の導入に向け、検討を進めてきました。引き続き、関係の皆様の声を丁寧に伺ってまいります。
そのほかにも、全国最多1000人以上の地域おこし協力隊の活動や、パリオリンピック・パラリンピックにおける本道ゆかりの選手の活躍、アンテナショップ「どさんこプラザ」の過去最高売上の更新、北海道米「そらきらり」のデビューなどがありました。
昨年、新たに策定した北海道総合計画では、北海道の力が日本そして世界を変えていく、そして、一人ひとりが豊かで安心して暮らせる地域づくりを進めていくことを、めざす姿として掲げ、この実現に向けた取組の中で、様々な分野で北海道の未来を切り拓く可能性や輝きを実感することができたと思っています。
新しい年は、この計画を基盤としながら、道民の皆様の暮らしを守り、豊かな未来を築いていくため、大きな一歩を踏み出す年にしたいと考えています。
防災体制の確立など命と暮らしを守る取組を最優先としながら、産業振興により地域経済を活性化し、さらには、我が国の食料・経済安全保障において役割を果たしてまいります。国内最大の食料供給地域として、農林水産業の持続的な発展に取り組むとともに、次世代半導体製造のパイロットライン稼働を大きな弾みとし、再生可能エネルギーや広大な大地、冷涼な気候など多彩な強みを最大限に活かして、AIなどのデジタル関連をはじめとする新たな産業や人、投資の呼び込みを加速させてまいります。
そして、社会全体で子どもを支える「こどもまんなか社会」の実現への取組や、地域を支える人材の確保・育成を進め、さらに、戦後80年となる本年、一刻の猶予も許されない北方領土問題の解決に向け、返還要求運動に粘り強く取り組みます。
本年は、道庁赤れんが庁舎のリニューアルオープン、知床世界自然遺産の登録20周年、ウポポイの5周年、北海道で57年ぶりの全国菓子博、北海道豊かな海づくり大会の初開催など、様々な節目の年でもあります。
こうした機会も捉え、本道の自然、文化、産業などを国内外に発信し、人口減少をはじめ直面する課題を乗り越えていけるよう北海道の創生を進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
本年が、皆様にとりまして、輝かしい未来に向けた素晴らしい年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。
第3次担い手3法の実効性確保
国土交通省北海道局長 柿崎 恒美
令和7年の年頭にあたって謹んで新年のご挨拶を申し上げますとともに、北海道開発行政の推進につきましては、平素よりご理解とご協力を賜り、厚くご礼申し上げます。
昨年は、第9期北海道総合開発計画が閣議決定された節目の年となりました。本計画では、北海道のポテンシャルを生かし、食料安全保障を支える農林水産業・食関連産業の持続的な発展、観光立国を先導する世界トップクラスの観光地域づくり、ゼロカーボン北海道の実現、地域の強みを生かした成長産業の形成等を図るとともに、これらの価値を生み出している生産空間の維持・発展に向けて、デジタルの活用、多様で豊かな地域社会の形成、人流・物流ネットワークの形成および強靱な国土づくりなどの取り組みを推進することとしております。
計画の推進にあたり、昨年は道内11カ所で、キックオフイベント等を開催し計画の目指す姿をお伝えするとともに、ご参加頂いた多くの皆様から計画への期待の声を頂戴したところです。今後は、地域の皆様の声を基に行政、住民、NPO、企業等の多様な方々との「共創」により、地域の課題を解決するとともに、北海道の新しい価値を生み出す取り組みを推進してまいります。
また、北海道では日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の切迫性や、気候変動の影響により豪雨災害が激甚化・頻発化しているため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を推進しております。具体的には、流域治水の加速化・強化、災害時における人流・物流の確保のための交通ネットワーク整備、インフラ老朽化への対応などを強力に進めているところです。
一方、国土強靱化の推進やインフラの整備やメンテナンスを推進するためには、建設業が将来にわたり役割を果たし続けることが必要不可欠です。建設業の担い手の確保に必要な処遇改善や働き方改革が必要となっており、公共工事・民間工事に関わらず取り組みを進めていくことが重要です。
このため、北海道開発事業を執行する北海道開発局では、第三次・担い手3法に基づき、技能者の賃上げや週休2日の確保等の処遇改善、適切な価格転嫁に向けた契約適正化、新技術の導入、地域企業の活用に配慮した適正規模での発注等の取り組みを進めております。さらに、改正法の実効性を確保するため、開発局における建設Gメンの体制強化を図ります。
本年、第9期北海道総合開発計画は2年目になります。この計画を着実に推進するとともに、建設業の働き方改革が進み、他産業以上の賃金で、週休2日の完全実施などを実現し、若者に魅力的な産業として発展するように目指してまいります。
末筆になりましたが、皆様方のご健勝とご活躍をご祈念申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
フロンティア精神で経済・社会に貢献
北海道開発局長 坂場 武彦
明けましておめでとうございます。謹んで新年のお喜びを申し上げますとともに、平素から北海道開発行政の推進に特段のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
1951年から切れ目なく策定されてきた北海道総合開発計画は、今年度から新たに第9期の計画がスタートしました。北海道のポテンシャルが注目されたこの時期に新たな総合開発計画をスタートしたことは大きな意義があり、第9期計画とともに発足した各開発建設部地域連携課が中心となって道内各地で開催したキックオフイベントをきっかけにして、今後も共創の関係者の裾野を継続的に広げていきたいと考えています。
昨年の災害では、元日に発生した令和6年能登半島地震とその後の大雨の災害が特に強く印象に残っています。こうした頻発・激甚化する災害から生産空間を始めとする北海道の国土を守るため、これまでも国土強靱化の取り組みを重点的かつ集中的に進めてきたところであり、この先も政府方針として国土強靱化実施中期計画の早期策定を目指すこととしていることから、開発局としても、5か年加速化対策完了後も切れ目なく国土強靱化の取り組みを進めていきたいと考えています。
また、生産空間を守り安全・安心に住み続けられる強靱な国土づくりに向けて、社会資本整備も着実に進めております。昨年は、道東自動車道の阿寒IC―釧路西IC間が開通したことで札幌と釧路が高速道路で直結したほか、函館港と小樽港におけるクルーズ船対応岸壁の整備、新桂沢ダムの建設や厚真川水系の砂防に関する災害復旧事業などが完了し、勇払東部地区を始めとする4カ所の農業農村整備事業は今年度で完了します。引き続き、社会資本整備を着実に進めてまいります。
「民族共生象徴空間(ウポポイ)」は、より多くの方々にお越しいただきアイヌ文化への理解を深めていただくため、昨年3月に策定された「ウポポイ誘客促進戦略」に基づき、全天候型弓矢体験など体験コンテンツの改善や新設、テレビアニメ「ゴールデンカムイ」と連携したキャンペーンなどに取り組んでおり、引き続き、関係機関と協力して取り組んでまいります。
北海道総合開発計画は、北海道の開発を通じて全国の課題解決に貢献することを使命としており、そのためにも安定的な予算確保を実現していくことが重要だと考えています。北海道の強みと価値を糧に、今年も引き続き、皆様と一緒に「共創」の取り組みをはじめとする第9期計画を推進し、明治以降の開拓の歴史の中で培われてきたフロンティア精神を再び発揮し、北海道の課題解決、ひいては我が国の豊かな経済・社会づくりに貢献していきたいと思っております。
結びになりますが、皆様のご健勝とご発展をご祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
安心の守り手として災害対応に万全
北海道建設業協会会長 岩田 圭剛
新春を迎え、謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。
平素、北海道建設業協会の事業運営に当たりまして皆様方からの格段のご支援、ご協力をいただき、心から御礼を申し上げます。
昨年においては半導体関連工事の本格化、札幌市などでの大型再開発事業の進展、インバウンド需要の増加などがみられた一方で、建設業においては建設資機材価格の高止まりや担い手確保が大きな課題となりました。
そうした中にあって北海道は、わが国の食料供給基地であるとともに脱炭素社会を先導する地域であります。また、豊かな自然環境、特色ある景観を有しており、魅力ある観光地域としても、デジタル関連産業の集積の場としても発展が期待されています。その北海道の可能性を活かしていくためには農業基盤整備や交通基盤整備などの社会資本の整備が不可欠であります。建設業といたしましては、関係機関と連携し、よりよい社会資本整備の一翼を担ってまいりたいと考えております。
また、昨年の能登半島の地震や豪雨に見られるように、災害が頻発化、激甚化しており、これまで以上に国土の強靭化を図っていく必要があります。北海道建設業協会といたしましては、地域の安全、安心の守り手としての使命感の下、災害対応に万全を期すとともに、関係行政機関とも連携を図り、社会基盤の強靭化に努めてまいる所存です。
昨年4月からは建設業に対して罰則付き時間外労働規制が適用となっております。建設業として労働時間の削減に引き続き努力をしているところですが、建設業は受注産業であり、また、積雪寒冷地であるという特有の事情もあります。こうしたことから発注者の建設業の働き方改革の推進への理解も引き続き必要であり、国をはじめ地方公共団体、民間発注者のご理解をお願いいたします。
また、建設業の労働環境の改善を更に進め、魅力ある産業として将来、担い手となる中高生、大学生に選ばれる建設業になるように努めてまいります。
北海道建設業協会は、地域社会のつくり手として北海道の発展に貢献してまいりますので、一層のご支援、ご協力をお願いいたします。
最後になりますが、皆様方のご多幸、ご発展を祈念して私の年頭のあいさつとさせていただきます。
北海道冬季ゼロ災運動を展開
北海道労働局長 三富 則江
令和7年の新春を迎え、謹んでお祝いを申し上げます。また、日頃から皆様には労働行政の運営につきまして、格別な御支援、御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、北海道における建設業の労働災害の現状を見ますと、依然として墜落、転落による災害が最も多く発生しているほか、高年齢労働者の労働災害に占める割合が増加しております。
本年は「第14次労働災害防止計画」(5か年計画)の3年目となります。本計画では、安全衛生活動に取り組む事業者が社会的に評価される環境を醸成し、令和9年の死亡労働災害を令和4年と比べて10%以上減少させるとともに、死傷労働災害を減少に転じさせることを目標としております。
このため、建設業を重点業種の一つとして指定し、死亡者数を令和4年より20%以上減少させることをアウトカム指標として、①墜落、転落災害の防止対策②建設機械・クレーン等災害の防止対策、③高年齢労働者の災害防止対策―を重点的に推進することとしております。
また、労働衛生対策においては、メンタルヘルスなどの健康確保対策および化学物質、石綿、粉じんなどによる健康障害の防止対策の一層の推進を図ってまいります。
北海道労働局では、これらを最重点行政課題の一つの柱として、積極的に取り組んでいくところであり、皆様方にも引き続きの御協力をいただきますようお願い申し上げます。
北海道では冬季において、例年、凍結などによる転倒、自動車のスリップや吹雪等の視界不良による交通事故、雪下ろし作業に伴う墜落災害、屋内での内燃機関・ジェットヒーターなどの使用による一酸化炭素中毒等冬の環境特有の災害が発生しています。
このため、北海道労働局では昨年12月1日から今年3月31日までを取組期間とする「北海道冬季ゼロ災運動」を展開し、冬季特有の労働災害防止の取り組みを推進しております。
この期間に各企業で実施していただく重点項目として、転倒災害防止対策、高所における除雪作業対策、交通労働災害防止対策、一酸化炭素中毒防止対策を掲げておりますので、確実な災害防止対策の実施をお願いいたします。
建設業に携わる皆様には、これらに加え、大雪による仮設屋根の崩壊等冬特有の気象状況の変化にも十分に注意をして作業を行っていただきたいと思います。
結びになりますが、今年1年間の皆様のご健勝と無事故・無災害を祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。
リニューアル・4車線化で安全・快適提供
東日本高速道路北海道支社長 堀 圭一
令和7年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。日頃より弊社の高速道路事業につきましては、格段のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
ネクスコ東日本北海道支社は、北海道内の高速道路(有料区間)720キロの管理運営を行っており、一日に約19万台のお客さまにご利用いただいております。
北海道の高速道路は開通から50年が経過し、物流や人流のネットワークとして地域経済の活性化に寄与してきた一方、大勢の皆さまにご利用いただいたことや、冬期間の凍結防止剤散布の影響等で損傷が顕著となったことから、古い構造物を最新の技術で補修・補強することで長寿命化を図る高速道路リニューアルプロジェクトが本格化しています。
現在、傷んだ橋梁の床版取替工事を道内各地で計画的に実施しており、渋滞が予測される箇所ではロードジッパーシステムを活用し、渋滞が予測された時間帯に車線切替を行い、渋滞を生じさせない工事に努めています。
災害に強いネットワークを確保するための4車線化事業では、道東自動車道の追分町IC―夕張ICと占冠IC―十勝清水ICの区間が事業化され、先行して事業化された占冠IC―十勝清水ICでは、本体工事を鋭意進めております。
冬期の交通確保では、集中的な大雪で車両が大量に立ち往生すると予想される場合は、国・北海道等の関係機関と密に連携しながら、広域的な事前通行止めを実施するなど適切に対応し、被害の最小化に努めてまいります。また、明日(未来)の雪氷対策高度化システムを「ASNOS(アスノス)」と名付け、除雪車を操作運転するオペレータの高齢化や労働人口の減少、労働時間の規制へ対応すべく、ロータリ除雪車の自動化技術を開発し、昨冬期より道央自動車道で運用を開始するとともに、除雪車の後方を追従する標識車の自動走行についても開発を進めております。
北海道のドライブを快適で便利に楽しんでいただき、北海道観光を応援する取り組みでは、北海道内の高速道路が定額で乗り放題となるドラ割「HOKKAIDO LOVE! 道トクふりーぱす」の販売のほか、フェリーや宿泊施設、AIRDOとのセットプランを販売しております。
最後に、これまで高速道路が果たしてきた役割をさらに発展させるため、今後とも安全・安心・快適・便利な高速道路サービスをお届けし、お客さまと地域の皆さまのご期待に添えられるよう努めてまいります。
引き続き高速道路事業へのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
持続的賃上げへ、価格転嫁の実現を
北海道経済産業局長 鈴木 洋一郎
我が国は、名目GDP600兆円、設備投資100兆円をそれぞれ超え、賃金も33年ぶりの高い賃上げ率を実現させました。半導体やデータセンターなどハード面での国内投資が地域経済の大きな牽引役となり、「失われた30年」から「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行の潮目にあります。
一方、北海道は全国を上回るペースで人口減少が進むほか、高齢化率も全国平均に比べて高水準であるなど構造的な課題に直面しています。少子化と人口減少は、地域の存続に関わる問題です。良質な雇用機会を創出し、若者や女性があらゆる地域で仕事や暮らしを選択することができる社会を構築することで地域経済を活性化して地方創生の実現を目指していく必要があります。また、賃上げを行う中小企業の中には、業績改善がみられない中での「防衛的賃上げ」が行われているケースも含まれています。持続的な賃上げを実現するには、その原資となる十分な価格転嫁の実現が今まで以上に重要です。
経済産業省ではミッション志向の産業政策を打ち出しており、「国内投資拡大、イノベーションの加速、国民の所得向上」の好循環の実現を目指しています。全ての世代の現在・将来の所得を増やす「日本経済・地方経済の成長」を目指し、私ども北海道経済産業局においても北海道が有する国内最大の再生可能エネルギーポテンシャルなど北海道が持つ強みを生かし国際競争力を強化していくと同時に、地域の社会課題解決や地方創生を実現させるため、以下の取り組みを全力で推進してまいります。
まず、DXとGXが牽引する更なる国内投資促進です。世界的に需要拡大が今後も見込まれる次世代半導体やデータセンターの拠点化を北海道において着実に進めていくとともに、関連する産業の取引活性化やデジタル人材の質と量の確保にも注力していきます。それら新たな電力需要をはじめ北海道内のエネルギー安定供給を目的に、徹底した省エネの推進、安全性の確保を大前提とした泊発電所の再稼働、洋上風力や地熱など地域と共生した再生可能エネルギーの導入拡大、水素・アンモニアなどの新たなエネルギーの利活用拡大やCCSの事業化に向けた環境整備を進めるとともに、地域のご理解とご協力を得ながら、寿都町と神恵内村においても調査が進められている高レベル放射性廃棄物の最終処分に取り組んでまいります。
第二に、地域の強みを生かした新たな挑戦の支援です。北海道の強みである食・観光産業の国際競争力の強化に向けて、食輸出プラットフォームなどを通じた輸出拡大や食品製造現場の生産性向上支援、北海道が持つユニークな観光資源を生かした地域産業の活性化に取り組みます。また、社会課題を解決する主体としても重要なスタートアップ企業と大手企業とのマッチングやエコシステムなどの構築に取り組んでいくとともに、宇宙産業などの北海道の特性を生かした新産業の創出も推進してまいります。地域経済を牽引する中堅・中核企業の新事業展開や若手後継者(アトツギ)の新分野進出の支援、中小企業などへの資金繰り・事業再生など地域企業が新たな挑戦に取り組んでいくために必要な環境整備にも引き続き注力してまいります。
第三に、地域経済を支えてきた地元企業の力を生かした「地方創生」の実現です。人手不足が加速する中、地域経済を下支えし、地域の生活や魅力そのものである中小企業・小規模事業者の持続的発展に向け、価格転嫁対策やパートナーシップ構築宣言などによる取引適正化を推進し、賃上げに向けた企業の原資確保も後押しするとともに、中小企業の生産性向上や商品展開力・サービスの向上、円滑な事業承継などを支援してまいります。また、都市間の移動距離が長いことなどに起因する北海道で顕著な物流課題を解決するための取り組みなど、経済活動を支える社会インフラの課題解決にも挑戦していくほか、消費者取引の適正化、製品安全確保などを進め、消費者の利益を守ります。
本年4月には、大阪・関西万博が開幕されます。会場に集められた日本の最先端技術が、新たな産業を生み出し、さらに、地方創生につながる機会となります。多くの皆様に会場まで足を運んでいただき、北海道の将来について語り合う契機にしていただければと存じます。
本年も関係機関の皆様とともに、「強い北海道経済」、「地方創生」の実現に向けて職務に邁進いたしますので、より一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
本年が皆様にとって実りの多い飛躍の年となりますよう祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。
公益機能高め広葉樹供給の試行推進
北海道森林管理局長 吉村 洋
2025年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
旧年中は北海道国有林の管理経営に対し、あたたかいご理解とご協力を賜りましたことに厚く御礼を申し上げます。
現下の国際情勢は、ロシア・ウクライナ問題に加え、中東情勢の緊迫化、中国経済の成長の鈍化など一層不安定となりました。
日本経済は、賃上げは加速したものの、資源・燃料価格をはじめ様々な価格が高い水準で推移し、経営や生活への影響が続きました。
道内の森林・林業・木材産業を巡っては、人手不足の深刻化と労働・輸送コストの上昇、建築物の着工件数・床面積の減少などによる木材の需要と価格が低迷するなど厳しい環境にありました。
一方で、新しい林業の実現に向けた取組や森林土木分野へのICTの導入が広がるとともに、道産材の道内利用に着目した施設の建設が見られるなど、将来の成長への布石が打たれつつあります。
北海道森林管理局では、森林の多面的機能の発揮と林業・木材産業の成長を下支えするため、約300万ヘクタールの国有林の管理経営に当たり、水源の涵養、山地災害や地球温暖化の防止、生物多様性の保全などの公益的機能の一層の発揮、道産材の需要拡大と安定供給、国有林の利活用による地域振興を推進してまいります。
森林の公益的機能の発揮については、人力作業の抜本的な見直しによる造林・保育の機械化・省力化を本格的に推進するとともに、治山・林道工事におけるICTの導入を加速し、防災・減災、国土強靭化にも資する森林づくりを進めてまいります。
同時に、異常気象の状態化や巨大地震への備えとして、緊急事態における民有林支援にも対応し得るよう組織の防災力を強化するとともに、ナラ枯れ被害のまん延防止に万全を期します。あわせて担い手確保に向けたSNSによる情報発信やリクルート活動も展開していきます。
道産材の需要拡大と安定供給については、道産材の建築材としての利用は低位であるものの、道産材に対して高まる注目を大きな流れとすべく、非住宅での利用拡大に向け、北海道庁、関係団体と連携しつつ、公共施設等への木材利用を積極的なはたらきかけを加速するほか、治山・林道工事における木材利用を推進します。
同時に、機動的かつ効率的に国有林材の安定供給を行い、道産材供給の下支えをしてまいります。その際、広葉樹へのニーズが高まる中、過去に人為が加わった天然林においても、公益的機能を高めながら広葉樹の供給を行う施業の試行を前進させます。
地域とのご縁が深い国有林において、観光需要の受け皿ともなるレクリエーションの森の適切な運営などによる地域経済の振興や、アイヌ文化の継承に向けた共用林野の設定などにも力を注いでまいります。
そして、こうした取組過程で得たノウハウや技術を積極的に発信してまいりますので、引き続き皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。
本年が北海道の森林・林業・木材産業の復活と再生が実現し、皆様にとって素晴らしい年となりますことをお祈り申し上げます。
仕事の魅力発信で若い人材確保へ
北海道空調衛生工事業協会会長 池田 薫
新年あけましておめでとうございます。
令和7年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。皆様方には日頃から当協会に対しまして格別のご理解とご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、新年早々元日に石川県能登半島を震源とする最大震度7の激震が発生しました。被害も甚大で多くの方が犠牲になりました。極寒の中、道路が不通になり、断水も広範囲で起こり住民の方々は現在も不自由な生活を強いられています。
また、1月2日には羽田空港で新千歳空港から向かっていた日航機が、着陸した直後に能登半島の被災地へ向かう海上保安庁の航空機と衝突しました。この事故で海上保安庁の乗員6人のうち5人が殉職され、一方の日航機の乗員・乗客は全員が無事に脱出されました。正月早々の大きな災害、事故が1年の幕開けでした。
経済面では、3月に日銀がマイナス金利を17年振りに解除し、金利のある普通の経済に戻ることが期待されましたが、政府の誘導で賃金は上昇した一方、それを上回る物価上昇により実質賃金はマイナスとなっています。残念ながらデフレからの完全脱却はもう少し後になりそうです。
政治面では、8月に岸田内閣が退陣表明し、10月に石破内閣が発足しましたが、その後の総選挙で少数与党となりました。世界に目を向けるとアメリカではトランプ氏が大統領に返り咲きました。
夏にはパリで100年ぶりにオリンピックが開かれ競技場ではなく、パリの街中で開会式が行われ、セーヌ川の船による選手入場となり、これまでにない演出が話題になりました。競技では、旭川市出身で女子やり投げの北口榛花さんをはじめ、多くの日本選手が大活躍し、獲得メダル数も過去最高を更新しました。
さらにスポーツ界で昨年最大の話題は、なんといっても大谷翔平選手の大活躍で、一年中途切れることなくマスメディアに登場し、次から次へと新しい話題を提供し、遠いアメリカでの活躍とは思われない扱いとなっていました。
また、年末には日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。
このような中、足元の建設業では、4月から時間外勤務の上限規制が厳格化されました。5年の猶予期間を経ての実施でしたが、対応する体制が業界全体でまだ充分に浸透しているとは言えない状況ではないかと思います。
官公庁の物件では4週8休が普及しつつありますが、小さな自治体や民間物件ではまだ契約事項にしていない物件があるようです。
また、我々受注者側も人員増を計画しますが、あらゆる産業で人材獲得競争が厳しくなり思うようには人員確保ができていません。一方、建築需要は道央圏での大型プロジェクトがいくつも開始され、全道的には猛暑を起因に冷房設備の普及、整備などが実施され、これまでにないような活況を呈しています。しかし、これに応える人員配置ができず、受注に向かっていけないというジレンマに陥っています。
少子高齢化が急速に進む中、次の時代を担う若い世代に空調衛生工事業の魅力をアピールし多様な人材の確保、育成をする必要があります。
このようなことから、当協会では、発注機関に対して分離発注の継続、安定的な事業量の確保、発注・施工時期の平準化、適正な工期・価格、適切な工程管理、工事書類の簡素化などの要望活動を行い建設業界における働き方改革の推進に協力するほか、会員企業の若手社員に対しては、各種技術研修会を実施することで施工管理能力や技術力の向上を図り質の良い快適な設備を提供することに寄与していきます。さらに空調衛生設備の重要性を広く社会に対して発信するなど積極的な事業活動を展開してまいります。
結びに皆様方にとりまして希望に満ちた飛躍の年となりますよう心よりお祈り申し上げますとともに、引き続き皆様方のご指導ご鞭撻をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
安心して入職できる業界づくり
北海道電業協会会長 藪下 裕己
新年明けましておめでとうございます。令和7年の年頭にあたり謹んで新春のお慶びを申し上げます。また、日頃より当協会の事業推進に対しまして格別のご理解とご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、北陸能登地域では年始早々に発生した「能登半島地震」、さらには9月の集中豪雨により甚大な被害を受けました。あらためてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様が一日も早く被災前の日常を取り戻すことができるよう、心よりお祈り申し上げる次第です。
国外情勢に目を遣りますと、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東におけるパレスチナ紛争の激化について、今後の見通しは一層不透明な状況となっています。エネルギー情勢の緊迫化や世界的な経済の不安定化が進むとともに、米国の政権交代で予想される大幅な政策変更による日本経済への影響について懸念されるところです。
一方、道内経済においては、世界中で次世代半導体の開発競争が加速する中、ラピダスによる次世代半導体拠点の千歳地域への整備に向けた工場建設が本格化し、また石狩市を始めとした大規模再エネデータセンターの立地構想が具体化するなど、地域経済の活性化に向けて明るい話題が生まれています。
さて、電設業界は、人口の減少や少子高齢化が進展する中で、〝技能者不足〟、〝若年者の担い手不足〟という問題に直面をしております。この〝人の問題〟は、今直ぐに解決策が見えるというものではありませんが、当協会では、学校関係者の皆様に、〝魅力と活力あふれる業界作り〟に努めていることをお伝えし、学生の方々に安心して入職いただけるような取り組みを今後もしっかりと続けていくことが肝要と感じております。
昨年4月からは、建設業においても罰則付き時間外労働上限規制が適用となりました。「働き方改革」の要となる時間外労働の削減に向け、私ども電設業界は「業務の効率化」や「生産性の向上」に引き続き積極的に取り組んでいるところです。
ただ一方では工期の終盤を担うことも多い私どもは、業界内の努力だけでは解決できない要因も抱えています。当協会では、長時間労働の是正に向けて、現場の4週8閉所の実現や適正な工期設定などに加え、受注者の責めによらない工程遅延に対して負担軽減が図られるよう、官公庁をはじめ発注者さまにお願いをさせていただいているところです。これからも協会活動を通じて、関係各所の皆様に特段のご理解とご支援をいただけるよう取り組んでまいります。
私ども電気設備工事業界は、電気設備の設置とその保守管理などを通じて、北海道の産業・経済や道民生活に直結するライフラインを支え、誇りと自信をもって今後も良質な電気設備を提供させていただきます。その使命を全うする上で、令和7年も活動目標に会員が一丸となり「夢と生きがいのある電気設備工事業界」を目指して精一杯取り組んでまいりますので、引き続き当協会の諸活動に対する皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
協会内の話題で恐縮ですが、昨年は日本電設工業協会全国会員大会が北海道で開催され、協会を挙げての取組みにより、盛会に終えることができました。改めまして関係各位のご協力に感謝申し上げるとともに、皆様のご健勝を心からご祈念申し上げまして、新年のご挨拶といたします。
道路・舗装の重要性を伝えたい
北海道舗装事業協会会長 中田 隆博
新年明けましておめでとうございます。
令和7年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
平素より国土交通省、北海道庁をはじめとする官公庁、並びに、関係団体の皆様には、当協会の活動にご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年は、アメリカ合衆国をはじめ、ロシア、台湾など、世界情勢に大きな影響を与える国や地域で選挙が行われ、世界的な「選挙イヤー」となりました。アメリカ大統領選挙では、トランプ氏が選ばれ、世界の貿易への影響が懸念されるほか、長引くウクライナ戦争やパレスチナ紛争など世界情勢は一層不透明さを増しています。原油価格の動向は、アスファルトなどの資材価格に大きく影響することから、舗装業界としても少なからず心配しているところです。
一方、能登半島地震や豪雨災害をはじめ、自然災害は激甚化・頻発化しており、インフラの老朽化を踏まえれば、国土強靭化対策は、待ったなしの状況です。
また、我が国の生産年齢人口の減少は深刻で、足元では、昨年2024年の出生者数は70万人を下回る可能性が高いと言われています。人口減少や少子化の傾向にブレーキがかからない中、担い手の確保は、建設業界に限らず、日本全体の最大かつ長期的な課題です。
舗装業界でも、昨年の「2024年問題」への対応、「働き方改革」、生産性の向上など山積する課題に取り組んでいるところです。新たな担い手の確保に向けては、舗装関係三団体が協力して、「道」をテーマとした新たなウェブサイトを立ち上げ、舗装業界を知ってもらうためのPR動画を公開するなど、これまで建設業界に関心のなかった方々に向けての活動にも取り組み、私たちの社会的使命を広く訴えて参ります。業界を取り巻く環境には厳しいものがありますが、会員企業とともに諸課題に取り組む所存ですので、関係官庁の皆様のなお一層のご指導ご支援を賜りたいと存じます。
昨年3月には、第9期北海道総合開発計画が策定されましたが、計画のキーになります「生産空間」、これを支える道路ネットワークの整備は、生産性の向上や観光の広域化・分散化を促進するなど、本道経済の活性化に大きく寄与するものと確信しております。
結びに、私どもは北海道の発展に不可欠な社会資本の整備や維持管理に引き続き取組むとともに、今後も道路事業、舗装事業の重要性を広く道民の皆様にお示しして参る所存です。関係各位のご健勝とご活躍をご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。
業界独自の取り組み推進へ
北海道管工事業協同組合連合会会長 佐藤 安幸
年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様には2025年の新年を爽やかに迎えられましたこと心よりお慶び申し上げます。旧年中は、当連合会の運営に対しまして格別なるご支援ご協力を賜り、誠にありがとうございました。
さて、昨年元旦に発生しました能登半島地震においては多くの方がこの災害の犠牲になられ、また復興途上の状況で7月に再び豪雨災害に見舞われ1年経過した現在でも仮設道路、仮設住宅、仮設水道等本格的な復興には程遠い状況であります。亡くなられた皆様、またご遺族の皆様に哀悼の意を表し心からご冥福をお祈りするとともに、未だ復興ままならない被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げるところであります。
私共道管連会員も日本水道協会の要請を受けて、札幌、函館、帯広、釧路の4単組が2月の約1か月間現地に派遣され水道施設の応急復旧に従事した次第であります。また多くの単組が応急復旧のための組織をつくり、待機をしておりました。応急復旧派遣は古くは阪神淡路大震災から東日本大震災、熊本地震、胆振東部地震の際に出動を経験しており、今回も出動要請を受けてからの各単組の緊急体制はスムーズに組織されたようであります。派遣された隊員の話を聞くと現地の被災状況、また被災された皆様の避難状況、その心情を考えるとほんとうに「早く水を出してあげなければ」という気持ちになり作業環境が悪い中でも頑張ることができたと、また感謝の言葉をかけられると、この仕事の「挑戦しがい」を強く感じたということでありました。
復興も進み日本水道協会の要請による組合単組の派遣は6月いっぱいで終了しましたが、その直後豪雨災害に見舞われたわけであります。多くの仮設水道管が流され、断水地区が多く出たということであります。現在は地元組合と近隣地区組合で復旧を行っているということであります。また水道本管が復旧しても建物内の給水装置や排水設備が復旧できず、向かいの家の水が使えても自分の家は使えない、また地元の指定水道工事店や排水設備指定工事店でなければ施工ができない部分があるといった復旧にあたっての課題も多くみられ、現在私どもの上部組織であります全管連でそれらを取りまとめて日本水道協会、国土交通省と協議をしているところであります。この被災地の応急復旧は、まさに私共日頃の技術・技能の研鑽、また組織の強い結束が機能した結果であり、今後今回の課題点を協議検討し、より精度のよい緊急対応を目指していかなければなりません。
さて、北海道内の人口減少がいよいよはじまり労働者人口の減少が地方創成の問題点となっています。北海道はラピダスの工場、石狩、苫小牧の大規模なデーターセンター、太陽光や洋上風力発電等々の大型プロジェクトが進出し、それに伴い多くの関連企業がこちらに事務所を構え、大きな経済発展が予測されますが、相変わらず私共の業界は人手不足、若手人材の入職が進んでいません。若手人材の育成、技術・技能の継承は業界にとって喫緊の課題であります。大きな経済の流れは大歓迎でありますが、このうねりに流されないような業界独自の取り組みが必要になります。本年も若者が魅力を感じる働き方はもちろん、私共の仕事の重要性、社会的評価、「やりがい」などのポジティブなイメージの評価等を粘り強く地道に訴えていく所存であります。
簡単でありますが新年の所感とさせていただきます。
©2024 The Hokkaido Construction News Co.,Ltd.