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【透視図】十勝で記録破りの大雪

童謡詩人金子みすゞに春の訪れを喜ぶ詩がある。「足ぶみ」という題名だった。春がすぐそこまで来ているのを見てうれしくなり、われ知らず足ぶみをしていたらしい▼中段から数節を記す。「ひとりで足ぶみしていたら、ひとりで笑へて来ましたよ。 ひとりで笑ってして居たら、誰かが笑って来ましたよ。 からたち垣根が芽をふいて、小径にも春が来ましたよ」。春本番を待つ浮き浮きした様子が伝わってくる。

立春が過ぎ、北海道も今年はこのまま早めの春に突入するのかと思いきや、突然のこの大寒波である。札幌市時計台で例年より2カ月も早くフキノトウが顔を出したとのニュースを見たのはほんの1週間ほど前のこと。春に傾きかけた気持ちがまた冬に引き戻された▼中でも十勝地方の方々は記録破りの大雪で、出ていた笑いもいっぺんに引っ込んでしまったろう。先の週末、帯広に住む身内が札幌に帰って来て、「雪が全然ないから札幌に比べると楽だよ」と話していたのを聞いたばかりだった。

帯広市の12時間降雪量は昨日午前9時現在で、統計開始以来最高の120㌢に達したそうだ。十勝地方のではなく、全国1位の記録を塗り替えたというから驚く。車がすっぽり埋まり、玄関が開かなくなるくらいの量である▼電車もバスも身動きが取れず、通行止めの道路も次々と。学校は休校、店は休業と大混乱だ。普段は雪の少ない土地柄だけに、お手上げの住民も多かろう。雪が降り終わってからも屋根からの落雪や除雪に絡む事故、雪崩には十分な警戒が必要だ。どうか無理せずご安全に。


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