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【透視図】財務省のとりでに風穴開ける

古くて使い勝手が悪く性能も劣化しているのに、まだ壊れていないから買い換えられない。家電、家具ではよくある話でないか。今ある冷蔵庫や洗濯機がまさにそう、という人もいるに違いない▼妻が「そろそろ買い換えましょうよ」と意見を言うと、夫が「まだ動くじゃないか」と反対する。その逆もあろう。ある程度まとまったお金が出ていき、貯蓄を減らすことだけに、ここぞのタイミングをつかむのが難しい。

長く大事にとの「もったいない」精神を信奉する人もいよう。とはいえ冷蔵庫なら新型より電気を格段に食うとか、漏電で火事の原因になるとか、まずい事態を招く例もある。やはり更新は適時適切に進めていった方がいい▼国の制度も似たようなものだ。世の中の変化とともに見直していくべきものだが、先送りされがちなのが実情である。中でも更新や変更、修正に強く抵抗する頑固親父といえば財務省だろう。とりわけ減税に関する制度変更となると断固として応じず、しばしば雷も落とす。

そんな難攻不落の財務省のとりでに突破口が開かれた。与党の自民党と公明党、野党の国民民主党が政府の経済対策に、いわゆる「年収103万円の壁」引き上げを盛り込むことで合意したのである。実現すると所得税の発生を避けるための働き控えが解消される▼賃金の上昇や働き方の多様化が進んだ中で欠陥が目立っていた制度だった。財務省はエアコンが必要な時代に、扇風機があるんだから我慢しろと言い張っていたようなもの。これを機に不具合の出ている他の事案も買い換えるといい。


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