【透視図】冬場の入浴には注意を
子どもたちの間で最近人気の絵本に、鈴木のりたけさんの『大ピンチずかん』(小学館)がある。子どもたちが日常生活で遭遇するピンチを示し、なりやすさを星5個でレベル付けしていくのが面白い▼牛乳がコップからあふれるのは星4個、路上でふんを踏むのは星5個といった具合である。事前に世の中のさまざまな大ピンチを頭に入れておき、切り抜けるための参考にしてほしい、というのが絵本の趣旨という。
寒さ厳しい今時期には欠かせない風呂に関するものも4例あった。「シャワーが みつからない(星1)」「ドアを あけられて さむい(星2)」「シャンプーが めに はいった(星5)」「おゆが ない(星2)」。どれも皆、陥ったことのあるピンチだろう▼これくらいならかわいいものだが、風呂では実際、星5個を優に超える本当の大ピンチが発生しがち。急激な温度変化で心筋梗塞を起こすヒートショックと、血管拡張で脳貧血を起こすことによる溺死である。特に冬場は要注意だ。
歌手で俳優の中山美穂さんが今月6日、不慮の死を遂げたのも入浴中の事故だったと聞く。厚生労働省の調べでは、浴槽内での溺死は年間5―6000人に上るという。交通事故死のおよそ2倍である。思った以上に多い▼當瀬規嗣札医大名誉教授も本紙連載「おとなの養生訓」(12月13日付)で冬場の入浴を話題に取り上げ、特に飲酒後の入浴は「危険極まりない」と、避けることを呼び掛けていた。忘・新年会で飲酒機会も増える。大ピンチに陥らないよう今から頭に入れておいてもらいたい。
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