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【透視図】中露との緊張高まる日本

日本周辺の東アジア地図を上下逆にした「逆さ地図」を知る人も多いだろう。弓なりに伸びて大陸にふたをする日本列島の別の姿を見ることができる▼小泉悠東大先端科学技術研究センター准教授が、今はこの地図にオホーツク海を封じるように伸びる千島列島と、太平洋への垣根となる南シナ海諸国を加えた方がいいと論じていた。中国とロシアの軍事的意図を知るにはその地政学視点が欠かせないというのである。

近著『オホーツク核要塞』(朝日新書)に教えられた。中国もロシアも太平洋との確実な接続が戦略的に重要だが、米国と同盟を組む日本を通り道にすることはできない。そのため日本の北と南に足場を築いておく必要があるわけだ▼最近相次ぐ一線を越えた軍事行動を見ると納得せざるをえない。ロシア軍の哨戒機が23日、稚内に近い礼文島北方で3回にわたり日本の領空を侵犯。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し、熱と光を放つフレアで警告した。この種の警告でのフレア使用は初めてという。

8月26日に長崎県沖で中国軍機による初の領空侵犯があったばかり。さらにこのところ、南シナ海とオホーツク海周辺での中露合同演習も活発化の様相を見せている。中露が足並みをそろえ、一気に現状変更の試みに出ているのは間違いない▼小泉准教授は日本にとって差し迫った脅威は中国と北朝鮮で、効果的な抑止力の確保が喫緊の課題と指摘。一方ロシアとは「冷たい平和共存」の維持が大切と説く。それぞれに別の対応が求められ難しいが、これも大陸にふたをしている日本の宿命である。


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透視図

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