e-特集北海道新幹線

《連載》北海道新幹線 開業まで1年(下)企業誘致と広域連携が鍵に

2015年3月19日付

 北海道新幹線の駅が置かれる北斗市と木古内町は、訪れる人たちの興味をいかに引き寄せ、滞在させるかという難題に向き合っている。多くの人の目的地が全国有数の観光地函館だとしても、玄関口としての印象をしっかり植え付け、周遊してもらうことで町に活力がもたらされるからだ。北斗市は「誘致活動」、木古内町は「広域連携」がそれぞれ鍵となっている。

 北斗市内の新函館北斗駅は、中心市街地の上磯地区から8kmほど離れた所に置かれる。ここで市は農地5・3haを区画整理し、商業地として企業誘致を展開。これまでにレンタカー事業者7社とタクシー会社1社の計8社が店舗を構えることを決めた。

新函館北斗駅前

新函館北斗駅前。核となるホテルや物販店の誘致が課題だ

 しかし、小売店や物販店、飲食店の誘致は実現していなく、肝心のホテルも難航している。

 市は、道内外1000社を対象としたアンケート調査の結果に基づき企業に進出を打診してきたが、多くは収支を見通せないことを理由に二の足を踏んでいる。開業業務を担当する水産商工労働課の山崎勝巳課長は「店舗の工事が始まり、JR北海道が新幹線の運行本数を決めるような段階になれば、名乗りを上げる企業が出るのでは」と期待を込めるが、確たるものはない。

 このほど明らかになった地元経済界による物販施設とホテルから成る複合施設の建設が、構想の域を出ていないことへの焦りも聞かれる。北斗市商工会の江田信行事務局長は「駅周辺の土地の利活用方針が見えてこないので、商工会としての具体的な開業PR活動を展開できない」と気をもんでいる。

 一方の木古内町は、市街地に駅が置かれることを強みとする。駐車場やアクセス道路といった周辺整備に加え、近隣自治体との広域連携にも力を入れている。

 公設民営の観光交流センターを渡島西部・桧山南部9町の魅力を発信する拠点と位置付け、エリア内のバスが3日間乗り放題となる手形を発売するなど、滞在メニューの開発に取り組む。センターには有名シェフ監修のレストランを入れ、鮮度の高い情報を提供する観光コンシェルジュ2人を常駐させる。レンタカー2社の窓口も置く。

 センター開業準備チームの浅利文博マネージャーは「まずは物販を充実させて町民とのコミュニケーションを築き、その輪を8町へ広げたい。そうすることで観光客にも魅力的に映る場所にしたい」と準備に余念がない。

 「寒中みそぎ」をテーマとした町歩きや特産品開発で木古内らしさを発信しながら、近隣との広域連携の道を模索している。新幹線振興室の中尾敦室長は「地域には個性がある。北海道発祥の地で和の雰囲気漂う渡島西部と桧山南部は、やり方次第では西洋文化を感じられる函館とうまく対比させられる」と話す。

 北斗と木古内の事例は、後の札幌延伸に向けて準備が進む八雲町や長万部町にとって、モデルとなり得る。

 八雲町の吉田邦夫新幹線推進室長は「新八雲駅(仮称)の周辺整備に関する検討が具体化しようとしている。北斗や木古内の取り組みがどのように発展するのか注目している」と話す。

 青函トンネル以来のインパクトとされる新幹線の開業を控え、盛り上がりを見せる道南地域。開業までの残された期間、目の前の課題にどのように向き合い、解決策を導き出すかに注目が集まっている。

(おわり)

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