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【新年特集2025・第4部】宇宙のまちづくり進む大樹町/アジアの民間宇宙港へ

2024年に延伸した1300メートルの滑走路。沿岸ではLC1射場の建設が進む
大樹町が「宇宙のまち」を目指したのは1985年のこと。官民学が連携した活動、ロケット打ち上げなど航空宇宙関連の実験を着々と進めた。2024年には多様な実験需要に対応するため、滑走路を300メートル延伸(画像)。宇宙のまちづくりを始めて40年目となることし、新たな射場が完成する予定だ。アジア初の民間宇宙港として大きな一歩を踏み出す。

宇宙目指して40年目、滑走路1300mに

拠点となる町多目的航空公園は1995年に完成した。1000メートルの滑走路から始まり、飛行管制塔や気象観測施設、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の実験施設、交流センターSORAなど関連施設が次々誕生。航空公園を舞台に多くの実験が進み、2019年にはインターステラテクノロジズ(大樹)がMOMO3号機を打ち上げ、民間企業開発のロケットとして初の宇宙空間到達を果たした。

海岸で進むLC1射場の建設工事(2024年11月18日撮影)

宇宙産業への期待が膨らむ中、2022年には北海道スペースポート整備が着工。設計と施工は日本工営・黒川紀章建築都市設計・清水建設・宮坂建設工業特定共同体が担当している。滑走路は西側に250メートル、東側に50メートル延ばし、全長1300メートルとなった。現在はISTの新たな人工衛星搭載用ロケットを打ち上げるLC1射場の建設が進む。

事業者が注目、宇宙版シリコンバレーへ

宇宙事業者の注目度は高まっている。ロケット打ち上げの地理的優位性や宇宙開発での実績からSPACE WALKER(東京)や将来宇宙輸送システム(東京)など複数の事業者が町を実験候補地に挙げる。2024年10月には世界6カ国の商業宇宙港と協定を結び、射場設備の共通化や技術開発で協力。アジアでは唯一の参加で、国内外の事業者による高頻度な打ち上げが期待される。

北海道スペースポートの将来イメージ図(SPACE COTAN提供)

LC1射場の完成後は民間事業者が高頻度の打ち上げを実施するLC2射場、延長3000メートルの滑走路新設を見据える。

注目度の高まりとともに、町内では飲食や小売の新規出店や移住者が増加。建設業を含む多様な業界からの支援が集まり、今後は関連産業の進出による宇宙版シリコンバレーの形成に期待がかかる。

新年特集2025・第4部


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