【透視図】若者たちの心の闇
日本を代表する作詞家の阿久悠さんは、記憶していたい日々の事件を「ニュース詩」として書き留めていた。その中に若者の残忍な事件に触れた「心の闇とマッチ」がある▼一節を引く。「闇はある 誰にもある 少年だけではなく 少女にも その親にも また その親にも 生きている限り闇はある」。ただ、日本が本当に苦しかった自らの子ども時代には皆、闇を照らす数本のマッチも持っていたと記している。
あるのとないのとでは大違い。阿久さんの詩はこう続く。「か細い炎でも 闇を照らす うまくすれば 出口も