釧路市がことし9月の着工を目指していた市立釧路総合病院の新棟建設スケジュールが、大幅に先送りされる見通しとなった。3月には完了するはずだった実施設計がいまだ納品されていないことに加え、事業費が基本設計段階で示されていた数字を大きく上回るとみられるためだ。市は基本設計から発注し直す可能性を含めて対応を検討中で、6月議会までには一定の方向性を示したいとしている。
新棟の基本・実施設計は、契約金額約3億3700万円で東京と釧路の建築設計事務所による共同体が受注。2015年9月から業務を進めていた。
しかし実施設計の納期であることし3月23日になって、市の担当者が受託者に連絡したところ、間に合わないとの回答があり、猶予を見て4月6日に再度問い合わせると、9日になって、9月着工に向けた手続きに間に合う時期には納品できないとの答えが返ってきたという。
完了した基本設計段階では、基礎免震工法を採用しハイブリッド手術室や釧根管内初の緩和ケア病棟などを備えたS造、地下1地上10階塔屋2階、延べ3万8859m²の新棟建設に工事費179億円を投じ、18―21年度で施工することになっていた。
このほか18億円余りで既存棟の解体と一部改修も計画し、こちらは20―23年度の4カ年で工事を進める予定だった。
同病院新棟建設推進室の太田豊室長は「具体的に何の作業が遅れているのか、その原因は何かなど事実関係を確認している段階。関係部局が庁内に広く存在していることから、調整にも時間がかかる」と説明。
工事費については「成果品が上がっていない状態なので正確ではないが、経過報告の限りでは当初の予定をかなりオーバーするのが確実とみられる」と話している。
基本設計から発注し直す場合は着工までに2、3年かかるとの見通しもあり、今後は関係部局で収支計画や新棟に持たせるスペックなどを含めて整理していく方針だ。