おとなの養生訓

おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が先「めし」は後

2014年04月11日 17時32分

 昔、ホームドラマなどで見かけた風景です。夕方、一家の主がご帰宅。お出迎えの奥様が、「お風呂になさいます?それともお食事?」と尋ねます。主は尊大にも「風呂!めし!」と短く言い放つ…。亭主関白そのもの。現代では、まず間違いなく消え去った風景です。

 ところで、入浴と食事、どちらを先にした方がいいのでしょうか?おとなの養生訓としては、はっきりさせておきたいところです。まず、食事を先に済ませたとします。そのあとすぐに入浴をするのは、消化吸収の妨げになることが指摘されています。

 入浴をすると、体温調節のために、皮膚や手足に血液が多く流れ込んで、消化管への血液の供給が減るためだと説明されています。そこで、食事を済ませてから、ある程度消化吸収が進行した後、つまり2時間程度たってから入浴すべきとされています。

 一方、入浴してすぐに就寝しても、なかなか寝付けないということが起こりがちです。これは、入浴によって体温が一時的に高まって、それにより脳が活性化されて、眠気が差しにくくなるためです。

 ですので、入浴後1、2時間たってから就寝した方がよいとされています。こうして考えると、もし午後6時に帰宅してすぐに食事をとったとすると、どんなに早くても午後11時以降じゃなければ就寝できないことになります。

 ましてや、帰宅時間がもっと遅くなる忙しいビジネスマンにとっては、就寝が深夜になってしまうことになります。そこで、帰宅後、すぐに入浴したとします。入浴後すぐに食事をとったとしても、悪影響はありません。

 食事をした後、すぐに就寝するのは消化吸収の妨げになりますし、食べたものが体に溜まる一方なので、体重が増える一因ともされています。なので、食事をしてから、消化吸収に要する2時間ぐらいをゆっくり過ごして就寝するのが理想的です。

 でも、この順番なら、全体で3―4時間ぐらいになるので、帰宅が遅くても何とかなりそうです。「風呂が先、めしが後」がおとなの養生訓なのですが、食事もお風呂も用意してある状況でなければいけませんので、あくまでも理想にすぎません…。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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