コラム「透視図」

キタデミー賞で調停

2020年01月24日 09時00分

 お客さんに会社を知ってもらうにはホームページの開設が一番―。そんな甘い言葉に誘われWeb製作事務所に発注したはいいが、出来上がってみるとあれこれ最新の機能が詰め込まれとんでもない請求額に。ITバブルの時代によく聞いた話である
 
 ▼入り口と幾つかの小部屋があれば十分と考えていた会社の担当者は大慌て。請求の内訳を見ても知らない言葉ばかりで何にどう使われているのかさっぱり分からない。せっかく作るのなら優れたものにしたい会社と、その足元を見て高くても買うと踏んだ事務所の共演による悲喜劇だろう。そんなバブル時代をほうふつとさせるような話が今でもあるとは思わなかった

 ▼おととしの北海道命名150年を記念するイベント「キタデミー賞」で、道が運営を委託した東京の制作プロダクションに予算を大きく上回る6500万円を請求されていたというのだ。ちなみに予算は900万円。昨今話題の「桜を見る会」でも経費は予算の3倍だが、これは7倍以上である。道は支払いを拒否したため制作側の「ギークピクチュアズ」(東京)が札幌簡裁に調停を申し立て、このほど道が2805万円を負担することで決着したという。あろうことか道は契約書も交わさぬまま運営を任せていたらしい

 ▼キタデミー賞は吉永小百合さんや北島三郎さんら本道ゆかりの著名人が登場する盛大な催しだった。制作プロとしては公的な記念イベントだから青天井でいけると踏んだのかもしれない。何ともばかばかしい話だが、税金を納める道民にしてみればほとんど悲劇である。


働き方改革 

2020年01月23日 09時00分

 締め切りに間に合わせるためほとんど寝ずに仕事をしていた手塚治虫さんの逸話がよく知られているせいか、漫画家といえば夜に日を継いで必死に働く人のイメージがある。ただ人気漫画家といってもそんな人ばかりではないらしい

 ▼『週刊少年ジャンプ』(集英社)で40年間一度も休まず『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載を続けた秋本治さんは、朝の9時に仕事を始め、夜の7時には切り上げているそうだ。しかも間に各1時間の休憩を2回挟み、休日もしっかり取るという。アシスタントも同じ体制で、タイムカードを使って出退勤管理もしているというからその徹底ぶりには驚くほかない。『秋本治の仕事術』(集英社)で知ったことである

 ▼秋本さんにとってはいまさらだろうが、世間では最近、「働き方改革」の声が急激に大きさを増してきた。政府が重点施策に据えているのに加え、実体も分からぬ顧客満足度を維持するため働く者に無理を強いてきた企業のやり方に限界もきているのだろう。象徴的なのは24時間営業の相次ぐ見直しや廃止である。ローソンやセブン‐イレブンといった大手コンビニチェーンの時短営業容認に続き、全国で「ガスト」などを展開する外食大手すかいらーくホールディングスも20日、4月までに系列全店で24時間営業を廃止すると発表した

 ▼少子高齢化で労働力人口が減る一方の日本。人手不足は企業にとって死活問題だ。「規則正しい勤務体制こそが理想の働き方」。不沈激しい漫画界で40年トップを走り続けた秋本さんのこの言葉は大いに参考になろう。


国会で台湾の名を呼ぶ

2020年01月22日 07時00分

 池田町出身の吉田美和さんがボーカルを担当する音楽ユニット「DREAMS COME TRUE」の楽曲の一つに、吉田さんが作詞した『何度でも』(作曲・中村正人、吉田美和)がある

 ▼いつ聞いても励まされる歌だが、特に落ち込んでいるときなどはふつふつと元気が湧いてくる。中でも胸に響くサビの部分はこんな歌詞だ。「何度でも何度でも何度でも 立ち上がり呼ぶよ きみの名前 声が涸れるまで」。名前を呼ぶというのは、「きみ」を大切に思っているとのメッセージだろう。20日開会した通常国会でもそんな名前を呼ぶ光景が見られた。安倍首相が施政方針演説で「台湾」に触れたのである

 ▼復興五輪の文脈でホストタウンを紹介する際、「岩手県野田村は台湾」と数あるホストの中からあえて台湾を取り上げた。演説で外交関係のない台湾に言及するのは極めて異例なこと。東日本大震災時の多額の義援金への感謝と、先日の総統選で民主派の蔡英文氏が再選したことへのエールに違いない。首相が「台湾」と言った瞬間、議場は歓声と大きな拍手に包まれた。立場は違えどお互い助け合い、中国と対峙しながら民主主義を堅持する者同士。思わず友好の情があふれたのでないか

 ▼蔡総統もその夜にツイッターで、「日本の国会で大きな拍手を浴びたのは実に嬉しい」「頑張ろう!東京オリパラ!」と発信していた。エールの交換だ。中国の「一国二制度」の正体は香港で白日の下にさらされた。大きな力によって消されることのないよう、日本は何度でも「台湾」の名を呼ぶ必要がある。


新型コロナウイルス

2020年01月21日 09時00分

 古代ギリシャの医聖ヒポクラテスが、紀元前460年頃の出来事を書き残している。それは街のこんな様子だった。「突然、多くの人々が高熱を出し、震えがきてせきも止まらない。病気は瞬く間に広がり、人々は恐れおののいた」

 ▼症状や感染態様などからインフルエンザの流行について記述したものと考えられているそうだ。ペニシリンのような特効薬もない時代である。肺炎で死ぬ人が後を絶たなかったらしい。呼吸器を機能不全に陥れる肺炎は医学が格段に進歩した現代にあっても恐ろしい病気である。原因としてインフルエンザウイルスや細菌がよく知られているが、最近にわかに注目を浴びているのは新型のコロナウイルスだ。中国湖北省の武漢市で発症者が相次いでいる

 ▼初めて確認された昨年12月12日以降、きのう朝までに中国全土で201人がり患。うち3人が死亡した。感染者はもっと多いとの説もあり、拡大の懸念は高まる一方だ。2003年に猛威を振るった新型肺炎SARSを思い出す。それはお隣の話、と安心してはいられない。中国は24日から春節の長期休みに入る。この機会に日本を訪れる人が毎年大勢いるのだ。6日には日本の空港の検査をパスして発症者が入国した事例もあった。防疫体制も万全ではない

 ▼幸い新型ウイルスの感染力は弱く、重篤になるのもまれという。ただ子どもや高齢者、体力のない人はその限りでない。いったん肺炎になれば容易に危険な状態に陥ろう。古代から人々を悩ませる肺炎をこれ以上はびこらせないために、手洗いとうがいを励行したい。


現代学生百人一首

2020年01月20日 09時00分

 昭和歌謡の一つに「若いってすばらしい」という題名通りの歌詞の印象的な曲(安井かずみ作詞、宮川泰作曲)があったが、こちらも一首一首読んでいくとそんな気持ちにさせられる

 ▼東洋大学の第33回「現代学生百人一首」入選作品が発表になった。「元号をスマホ片手に待ちわびてSNSで令和と知りぬ」(阿南工専5年高島雄太)。改元で万葉集が脚光を浴びたため、今回は6万首を超える応募があったそうだ。若さゆえのはじけるような喜び、つらい悩み、大人への階段を上る中での迷いが歌から伝わってくる。数首紹介したい。「母の背が大人になるなと語ってるごめんよ僕はもう子供じゃない」(品川区立大崎中3年早川将風)。引き留めてくれるなおっかさん

 ▼「おめでとう妹祝う誕生日こっそり祝う姉になった日」(西武学園文理高1年小川璃乃)。「しわくちゃの手を握って行った墓参り今年は握らず会いに行く夏」(秋田北高1年塩田遥子)。生も死も柔らかな心に深く、優しく刻まれていく。まだ十代後半ながら早くも職人魂を熱く燃え立たせている歌もあった。「ただの鉄それだからこそ俺達の技術使って命吹き込む」(広島工高1年山根飛和)。「測量でかげろうできて誤差が出るピントが合わずとても悔しい」(八幡浜工高3年山下一平)。実に頼もしい

 ▼とはいえ、時には現実の厳しさに打ちのめされることもある。「帰り道惰性で買ったマシュマロに救われるような夜もあります」(慶応義塾湘南藤沢高2年天田憲壮)。甘く切ない味だったろう。いやー、若いって素晴らしい。


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