コラム「透視図」

カズJ1最年長出場

2020年09月28日 09時00分

 男の数え42歳は大厄といわれ、古くから凶事や災難に遭いやすいとされてきた。真偽は定かでないが、社会的な立場や責任、身体的な衰えといった変化が顕著に現れるころだからとの説をよく聞く

 ▼ただ体に関しては近年、健康寿命が延びたこともあり、50歳を新たな厄とみなす考えも出てきているらしい。なるほどそうかもしれないと納得する人も多いのでないか。今の時代、42歳といえばまだ気持ちは若者だろう。ところが50歳の坂を越えるとそうはいかない。独自の身体論でも知られる斉藤孝明治大文学部教授もエッセーに、「50歳というのは、思っている以上に節目の年齢だ。実際に迎えてみてわかった」と記していた。無理が利かなくなってくるというのである

 ▼だとすると、この人の体は一体どうなっているのか。サッカー元日本代表FWのJリーガー「キング・カズ」こと三浦知良(横浜FC)が、先週23日の対川崎フロンターレ戦に53歳6カ月で先発出場し、J1最年長出場記録を打ち立てたのだ。スポーツニュースでプレー映像を見たが、赤いキャプテンマークを左腕に巻いて走る走る。ゴールこそ決められなかったものの、好機を見逃さず絶妙のパスを出し、得点にあと一歩まで迫った

 ▼普段から厳しいトレーニングを欠かさず、体重もグラム単位で管理していると以前何かで読んだ。確かに、「レジェンド」というだけで試合に出られるほど甘い世界ではあるまい。とはいえキング・カズも50歳を超えた一人の男。その彼が次々と常識を覆していく姿を見ると、厄も落ちる気がして心強い。


中小企業基本法見直し

2020年09月25日 09時00分

 バブルが崩壊した後、日本経済は混乱を極めた。空前の規模で積み上がった不良債権が重くのしかかっていたためである。1990年代前半のことだ。政府は待ったなしの対応を迫られていた

 ▼公的資金を投入して金融機関を救済するか、資金は入れずに制度改善で乗り切るか、どちらかを選ばねばならない。当時、大蔵省は公的資金の投入に反対。制度改善案を強く押した。最終的に政府はその案を入れたのである。結果はご存じの通り。不良債権処理は遅々として進まず、金融危機は最悪の状態に陥った。悪夢である。倒産が相次いで人々は路頭に迷い、景気はさらに減速した。最初から公的資金を投入していれば、危機は避けられただろうというのが現在の見方である

 ▼この事実は政府や官僚が自信満々で下手を打つこともあることを教えている。菅義偉首相が早速着手したこちらの取り組みもそうならなければいいのだが。資金力などで劣る中小企業を支援する施策を定めた中小企業基本法の見直しである。中小企業は国内企業の99.7%を占める。戦後の経済発展を支えた立役者だが、近年は小所帯ゆえの開発力の弱さや生産性の低さが指摘されてきた。菅首相は税制優遇や補助金にメスを入れ、再編や経営統合を促す狙いらしい

 ▼先進諸国の中でも日本の生産性は低く、改善は必要だ。ただ新型コロナに痛めつけられた企業環境で下手を打つと、経営基盤の弱い中小企業は雪崩式につぶれていく可能性もある。理路整然とした案が必ず期待通りの結果を生むわけではないのだ。悪夢の再現は避けたい。


インフル激減

2020年09月24日 09時00分

 このところ体重が増え過ぎているなと自覚のあるところに、人間ドックで各種数値に異常が出て駄目を押される。医者からは「このままだと長生きはできないよ」と脅され、もはや減量待ったなし。そんな経験を持つ人は多いのでないか。実は当方もその一人である

 ▼仕方なく嫌々ダイエットを始めるのだが、そこで思わぬ発見がある。体重が軽くなるとまずフットワークが軽くなり、次いで気持ちまで軽くなるのだ。ちょっと外出するのもおっくうだったのに、痩せてからは率先して立ち上がるくらい。妙にヤル気も湧いてきたりして。ただ体重を落としたいだけだったのに、うれしいおまけが付いてきたのである

 ▼こちらも同じ大きなおまけだろう。今期の季節性インフルエンザ患者数が例年に比べ激減している。新型コロナウイルス感染拡大防止のために多くの人がこまめな手洗いやマスク着用、三密回避を徹底した結果らしい。若干の不便はあるものの、いらぬ苦しみを味わわずに済むのだからありがたい。厚生労働省は毎年9月からインフルエンザの患者数を公表している。18日時点の累計は7人。前年同期が9551人だったことを思えば夢のような話だ。前の年が特に多かったとはいえ、おととしも993人はいたのである。違いは歴然だ

 ▼インフルエンザの死亡者数は推計で年間1万人。子どもが重症化する例も少なくない。一方で新型コロナの死亡者数は22日現在で1508人である。ダイエットも苦しいが感染対策も楽ではない。ただこんなおまけがあるならもうしばらく頑張れる気がする。


ワニにヘリウム

2020年09月23日 09時00分

 たしなんでいる人には申し訳ないが、茶道というものが昔からよく分からない。同じ道でも剣道や柔道なら、元は命のやりとりに直結していた武技だから深く極めるのに何の不思議もない。しかし茶はただの飲み物である

 ▼それなのに正式な作法ではわざわざ小さな入り口から狭い茶室に入り、出された茶わんを2度ほど回した後に、三口半で飲み干す。さらに掛け軸や釜、茶器の鑑賞までしなければならないという。落語にもあくびの正しい仕方を教える「あくび指南」がある。本来は取るに足りない物事を芸や道の高みに引き上げたくなる癖が日本人にはあるのかもしれない。はやりの言葉を使えば「癖が強い」のである

 ▼笑った後に考えさせられるノーベル賞のパロディ「イグ・ノーベル賞」を日本人が14年続けて受賞しているのもそれと無関係ではあるまい。ことしの受賞者が先週発表になった。日本人を含む研究チームに贈られたのは「音響学賞」。ワニにヘリウムガスを吸わせ声の変化を調べたという。ばかげた話のようだが学術的な意味はあるらしい。ガスによって声が変わったことで、詳細には分かっていなかったワニの発声方法が判明したそうだ。人と同様に声道で音を共鳴させる仕組みだったという

 ▼あのこわもての爬虫(はちゅう)類の発声メカニズムが人と同じだったとは驚く。だからといって親近感は湧かないが。受賞者は京大霊長類研究所の西村剛准教授ら。第一線の研究者たちだ。そんな面々がワニにヘリウムを吸わせている姿を想像すると笑える。へそで茶が沸くかもしれない。


菅内閣発足

2020年09月18日 09時00分

 ジョージ・W・ブッシュ米大統領一期目に国務長官を務めたコリン・パウエル氏は、史上最年少で米国4軍の頂点に上り詰めた人である。誰にでもできることではない。人や組織の力を最大限発揮させられる仕事哲学を持っていたからだろう

 ▼例えば部下だった二人の指揮官の話。一人は丘を取れと命じると二つ返事で飛び出していく。もう一人は方法や時間、次善の策などをしつこく尋ねてくる。どちらが良いのか。パウエル氏は両方が優れていたと評価する。人は誰でも長所と短所を持つ。その上で「ふたりのいいところを活用し、お互いの強みが弱みを補完し合うようにすることが私の仕事だ」というのである。著書『リーダーを目指す人の心得』(飛鳥新社)に記していた

 ▼実はこの本、菅義偉新首相も参考にしているそうだ。官房長官時代、学ぶところが多くあったらしい。今回も役立てた部分があるのでないか。菅内閣が16日、発足した。旗印として掲げた基本理念は「国民のために働く内閣」である。顔ぶれを眺めると、20人の閣僚のうち再任と横滑り、再起用で15人を占める。初入閣は5人だけだ。難しい時期を乗り切るための即時対応内閣といった趣である。新味に乏しいとはいえ行政改革に実行力ある河野太郎氏、デジタル改革にITに詳しい平井卓也氏を持ってきたところなどは、菅首相の改革にかける熱意の表れだろう

 ▼さて、内閣の形は出来上がった。ここからそれぞれの閣僚のいいところを活用し、強みが弱みを補完するように導くのが菅首相の仕事だろう。お手並みを拝見したい。


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