北海道開発局は19日、斜里町と羅臼町をまたぐ国道334号知床横断道路で、除雪作業の省人力化に向け、最新式の除雪ロータリー車の実証実験を公開した。準天頂衛星「みちびき」によるGPSシステムで正確な作業ができ、投雪装置の自動化も実現している。自動作業が可能な除雪車は、日本で初めてとなる。
近年、気象変化により道内では冬季の通行止めが増加傾向にあり、経験や技術が必要なオペレーターの高齢化や人手不足も課題となっている。将来的に、十分な除雪作業ができなくなることが危惧されている。
これを受け、開発局など産官学が除雪作業車にICTを組み込む技術を確立する「i―Snow」が2017年3月に設立。作業の省人力化に向けて検討を進めてきた。現在除雪車での作業は2人体制で進めるのが一般的だが、将来的に1人でも正確で安全な作業ができることを目指している。
最新式のロータリー車は、準天頂衛星「みちびき」によって正確な位置情報を把握でき、作業箇所の3Dマップデータを搭載していることから、安全で効率的な作業が可能となる。また、前方の雪をかき集めて回転翼で吹き飛ばす「ブロア」の自動化も実現している。
19年度には、住宅街など繊細な作業で吹き飛ばす雪の方向を変える「シュート」の自動化や、対物事故防止のための安全装置の自動化実験を予定している。20年度には一般道での実験に着手したい考えだ。
開発局建設部道路維持課の林憲裕道路防災対策官は「除雪作業の課題解決に向け、寒冷地である北海道から全国に取り組みを発信していきたい」と話していた。