採用手続きなど支援 建設業とのマッチングに期待
刑務所や少年院を出所する見込みの人が持つ資格などの情報を、雇用したい事業主に提供する法務省の就労支援拠点「コレワーク北海道」(矯正就労支援情報センター)が札幌市東区東苗穂の札幌矯正管区に開設され、7月1日から業務を始めている。(入札情報部・福田 翔悟記者)
コレワーク北海道は、全国の収容施設から半年以内に出所予定で就労意欲があるなど要件を満たす入所者の職歴や資格、帰住予定地といった情報を管理している。事業主の希望条件にマッチした入所者を照会する。
コレワークは就労を通じて出所者の再犯防止を図る目的で、2016年に東京、大阪矯正管区にそれぞれ開設された。7月には札幌を含めて全国で計8カ所まで拡充した。各地域のコレワークでは入所者の情報提供のほか、採用手続きのサポートや奨励金制度の案内、建設工事の競争入札で登録事業者を優遇する協力雇用主制度など各種制度を案内している。
コレワーク北海道によると、ことし3月までに全国の事業主からは計約3900件の相談があり、そのうち約650件が内定。道内は135件あった相談のうち、34件が内定につながった。全国の内定業種の内訳は建設業の66.4%が最多で、運輸13.3%、宿泊等サービス8%、医療・福祉サービス6.2%と続く。
担当者は「建設業の経験者は求人に応じる可能性が高い」とし、建設業関連の職歴や資格を持つ出所者と人材難に苦しむ地元建設業のマッチングに期待を寄せる。
倉本修一室長は「社会に出てからではつまづいてしまう人も多いため、在所中の内定にこだわっている。あくまで出所者を育てるという意識で採用してほしい」としながら「人手不足の解消に向けて手助けができれば。北海道のニーズに合わせ、地域に根差した活動をしていきたい」と力を込めた。
元受刑者や少年院出院者などを積極的に雇用している北洋建設(本社・札幌)の小沢輝真社長は「元受刑者を受け入れるには心理的な障壁がある。コレワークの拡充で元受刑者への理解が深まり、雇用がよりスムーズになるのでは」と話した。
(北海道建設新聞2020年8月19日付1面より)